評価年月日:平成26年2月20日
評価責任者:国別開発協力第三課長 西永 知史
スーダン共和国
ハルツーム州廃棄物管理能力向上計画
本事業は,ハルツーム州において,廃棄物収集車等の機材供与及び維持管理ワークショップ建設を行うことにより,廃棄物収集の効率化を図り,同州の都市衛生環境向上に寄与することを目的とする。供与限度額は15.34億円。
(1)本事業は,「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」(2010年4月公布)に掲げる廃棄物処理・処分セクターのうち大規模なものに該当せず,環境への望ましくない影響は重大でないと判断され,かつ,同ガイドラインに掲げる影響を及ぼしやすい特性及び影響を受けやすい地域に該当しない。工事中,供用後に,大気質,水質,廃棄物,騒音・振動等のモニタリングをスーダン政府が実施する。
(2)以下の事項が,スーダン政府により実施される必要がある。
(ア)用地の確保
(イ)本計画により供与される機材及び維持管理ワークショップに対する適切な運営・維持管理
(ウ)上記に要する人的手当及び予算措置
(1)スーダン共和国は,2005年1月に南北間の内戦の終結を迎えたものの,20年以上に及ぶ内戦は,経済状況の悪化を招き,住民の基礎生活環境に大きな影響を及ぼし,国民は劣悪な環境下での生活を強いられている。また,国際社会の関心が南スーダンの独立やダルフール問題に集中したため,復興開発は著しく立ち後れている。
(2)近年,スーダンでは経済発展とともに都市開発が急速に進み,難民の流入も伴い,都市人口が増加し,首都を抱えるハルツーム州では環境汚染が進み,市民の衛生環境が悪化している。ハルツーム州は人口627万人を有し,1日当たり約5,000トンの廃棄物が排出されている。州清掃管理局の管理下で各郡の清掃事務所が廃棄物収集運搬業務を実施しているが,収集運搬に関しては古い機材を用いた非効率な事業のため,総廃棄物量に対する収集率は65%程度に留まっている。このため廃棄物が市中に滞留しており,低所得者居住区を中心に衛生環境が悪化している。また同州は処分場を有し,廃棄物搬入受入体勢は整備されているが,重機の不足により覆土処理がなされず,処分場周辺地域への環境面の影響が懸念されている。
(3)このため,スーダン政府は,適切な廃棄物管理を進めるための機材調達や施設建設の実施に必要な資金につき,我が国政府に対し無償資金協力を要請したものである。
(1)過年度において派遣された環境管理専門家により,廃棄物の定時定点収集や住民教育,料金徴収体制の確立,最終処分場管理の改善を実施し,ハルツーム州廃棄物管理マスタープランを策定した。それら成果は,本計画において効果的な収集や維持管理,最終処分場の運営管理に反映されている。
(2)採択されている技術協力プロジェクトにより,収集・運搬・処分に関連する施設や機材の維持管理及びマニュアルを通じた他州への普及を図る。
(1)廃棄物収集量が3,200トン/日(2012)から4,600トン/日(2016)に増加し,廃棄物収集率が65%(2012)から80%(2016)に上昇する。
(2)収集用車両及び埋立用機材の供与により,都市内の投棄廃棄物の減量化,埋立地周辺の衛生環境の向上に寄与する。
(1)スーダン政府からの要請書
(2)JICA事業化調査報告書(JICAを通じて入手可能)