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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日:平成26年1月28日
評価責任者:国別開発協力第三課長 西永知史

1.案件名

1-1.供与国名

セネガル共和国

1-2.案件名

「ダカール州郊外中学校建設計画」

1-3.目的・事業内容

(1)人口増加率の最も高いダカール州郊外7県(クール・マッサール,パルセル・アセニ,ルフィスク・コミューン,ルフィスク・デパルトマン,チャロイエ,ピキン,ゲジャウェイ)における中学校27校187教室の建設,教育機材の供与及び学校運営維持管理等に関する技術指導を行うもの。供与限度額は,12.90億円。

(2)セネガルは,西アフリカの政治的・経済的中心国の一つであり,平和外交を推進する等,西アフリカを中心とするアフリカ全体の平和と安定にも積極的に貢献している。同国への支援は二国間の友好関係を深化させるだけでなく,西アフリカ全体の平和と安定に貢献するものである。

1-4.環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

(1)本案件は,中学校の教室等の整備を主たる内容としており,特段の環境社 会面の影響は想定されないところ,JICA環境社会配慮ガイドラインにおいてもカテゴリーC(環境社会への影響が最小限)に分類される。

(2)以下の事項がセネガル政府により実施される必要がある。

ア 本計画により建設される教室等の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。

イ 活動に必要な人的手当及び予算措置を行うこと。

2.無償資金協力の必要性

2-1.必要性

(1)セネガル政府は,「教育・訓練セクターの一般政策文書2012-2025」において,7歳から16歳にあたる10年間をすべての子供が受けるべき基礎教育期間として掲げ,その完全普及を目指すことを目標としている。他方,20歳に満たない若年層は,年平均2.7%増加しており,特に人口増加率の著しいダカール州においては,前期中等教育(中学校)を受ける生徒数は,約116万人(2011年)から,約170万人(2025年)にまで増加することが見込まれている。

(2)こうした年々増加する生徒に対し,施設整備が追いつかず,1教室当たりの基準生徒数45人に対し,本計画対象校においては1教室あたり平均100人の生徒が学習せざるを得ない状況となっている。

(3)そのため,教室は過密状態で,雨漏りのする仮設教室や,倒壊の危険がある老朽化した教室も使用せざるを得ない状況となっている。このような状況は,生徒の学力低下のみならず,中途退学の要因にもなっており,これら急激な生徒数の増加に対応した教育環境改善は,早急に改善が必要な課題となっている。

(4)本計画は,我が国の新教育協力政策で表明したミレニアム開発目標(MDGs)達成に向けた支援コミットメントや我が国が2013年6月に開催したアフリカ開発会議(TICAD V)で表明した「新たに2,000万人の子供に対して,質の高い教育環境を提供する」に整合するものである。

2-2.効率性

(1)平成18年度に実施した対セネガル・コミュニティ開発支援無償「小中学校建設計画」をふまえ,対象地域,施設規模及び機材供与の範囲を決定し,事業の効率的・効果的実施に努めた。

(2)他ドナー(フランス開発庁)が実施した教室建設事業(面積,仕様,平米単価等)と本事業を比較した上で,適切な設計・仕様を決定するとともに,コスト削減に努めた。

2-3.有効性

(1)対象中学校27校における教室数が136教室から323教室に増加し,教室内の過密状況等が解消された適切な教育環境で学習できる生徒が約6,000名から,約15,000名に増加する。

(2)教育環境の改善により,ダカール州郊外7県(クール・マッサール,パルセル・アセニ,ルフィスク・コミューン,ルフィスク・デパルトマン,チャロイエ,ピキン,ゲジャウェイ)の就学率の上昇及び中途退学率の抑制に寄与することが期待される。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)セネガル政府からの要請書

(2)JICA事業化調査報告書(JICAを通じて入手可能)

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