評価年月日:平成25年2月13日
評価責任者:国別開発協力第三課長 貴島 善子
シエラレオネ共和国
配電網緊急改修計画
シエラレオネ首都フリータウン首都圏にて,安定的・効率的に配電を行うため,33 / 11 kV配電用変電所の建設と33 kV配電線の敷設及び既設11 kV配電線の修復・延伸並びに,低圧配電用資機材の調達を実施することにより,老朽化し不安定で配電ロスの多い既設配電設備の改善を図り,もって電力供給の安定化を図るものである。供与限度額は13.97億円。
以下の事項が,シエラレオネ政府もしくはシエラレオネ電力公社により実施される必要がある。
(1)本計画により建設される変電所への要員配置や教育・訓練を計画的に実施し,同変電所の運転が円滑に行われるよう配慮すること。
(2)維持管理のために必要となるスペアパーツ,消耗品類を遅滞なく調達・補充し,定期的なメンテナンスを確実に実施すること。
(3)予防保全の導入・実施により,設備火災などの重大事故を未然に防止すること。
(4)変電所及び配電線設備の維持管理費を十分確保すること。
(1)フリータウン首都圏を含むウエスタンエリアへの電力供給は,我が国の援助で2010年3月に完工したキングトム発電所 (定格出力5MW×2台のディーゼル発電機)他による発電で2010年の潜在電力需要約45 MWを賄っている状況。
(2)他方,同地域の配電網は,各設備の老朽化,損傷,故障等により正味の配電可能容量は30~35 MW程度となっており上記需要とのギャップが発生している。配電設備の老朽化等の結果,配電ロスの高止まり(約30%)は続いており,同地域にて,優先的に電力が供給されている政府機関,公共機関であっても電力供給は不安定な状況であり,行政・公共サービスの質の低下が指摘されている。また,頻発する計画停電等により,多くの一般家庭は電力が安定的に供給されていない状況にある。
(3)本計画対象地域の一般家庭の多くは,電力供給がまったく行われておらず,その他,社会福祉・公共施設(緊急外科病院,伝染病隔離病院,クリニック/ヘルスセンター4棟,小学校3校等)等も,その大半は,電力不足により地域住民に十分なサービスを提供できていない。そのため,コミュニティの社会経済活動の活性化並びに対象住民の生活の質の向上のための配電網の整備が優先課題となっている。
経済的な設計とするために,資機材の使用は可能な限り国際規格に準拠した標準品を採用し,既設設備・機器との互換性をはかり,必要最小限の設備構成・仕様を選定する。
(1)電力損失が30%から20%に低減され,停電時間が12時間/日から1時間/日に短縮される。
(2)本計画により,フリータウン首都圏における,電力普及率の向上及び電力の安定供給を通じて,住民の生活環境の改善,産業の振興,学校や医療機関等の公共サービスの改善に貢献する。
(1)シエラレオネ政府からの要請書
(2)JICA事業化調査報告書(JICAを通じて入手可能)