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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日:平成25年9月12日
評価責任者:国別開発協力第一課長 宮下 匡之

1. 案件名

(1)供与国名

パプアニューギニア

(2)案件名

マダン市場改修計画

(3)目的・事業内容

本計画は,市場の改修を行うものである。本事業により,マダン市場において地元農水産物が衛生的かつ効率的に流通する環境を確保し,質の良いサービスの提供を図り,当該地域の持続的経済発展を図ることを目的とする。供与限度額は10億400万円である。

(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

本計画により改修されるマダン市場の適切な運営及び維持管理に必要な予算が、実施機関であるマダン市役所により継続的に確保されること。

2. 無償資金協力の必要性

(1)必要性

ア パプアニューギニアにおいて,農林水産業はGDPの27.9%(2012年推定値)を占める重要な産業であるが,地方では自給的生産や零細な生産活動が中心であり,自家消費に回らない余剰生産物を地方市場において販売し貴重な現金収入を得ている。このような状況の中で,人口約50万人のマダン州における中核都市であるマダン市にあるマダン市場は,マダン住民のみならず周辺の内陸部や離島等の住民・漁民にとって現金収入を得るための重要な場所となっている。

イ しかしながら,同市場の既存施設は老朽化が進み,市場等の面積も不足しているほか,場内舗装がほとんどされておらず,ゴミ等による不衛生が甚だしい上,場内の断水,排水路の未整備など市場としての基本的なインフラが整備されていない状況である。また,同市場近傍のラグーンに面した護岸ではボートからの水揚げと鮮魚販売が行われているが,護岸の老朽化により水揚げ作業に支障をきたしており,鮮魚の血汁や氷の融解水がラグーンに垂れ流され,不衛生な状況にある等の課題から,同市場の改修が必要とされている。

(2)効率性

ア 市場施設の計画規模については,既存の市場で活動している小売人の人数と活動の実態を勘案して設定した。

イ 既存の製氷所に生産力の余剰があることを踏まえ,先方政府と協議し,当初要望にあった製氷施設の導入を行わず,氷販売のみを行う施設を整備することとしたほか,市場桟橋,保冷箱・高圧洗浄機等の必要性・緊急性の低い施設については本計画による整備対象外とした。

ウ 市場施設の利用について,これまでは販売数量に応じた利用料が徴収されていたが,使用する売場の広さに応じた利用料の徴収に転換することにより,不公平な施設利用状況を解消し,売場の有効利用を促すこととした。

(3)有効性

本件の実施により,以下のような成果が期待される。

ア 市場の改修により,市場内で小売人が屋根及び床の両方を備える施設内で販売できる割合が増加(約34%→約80%)するほか,市場内での上水(年間0トン→約60トン)及び氷(年間0トン→約15トン)の販売が見込まれる。また,トイレの利用が可能となる(年間0回→約7万回)。

イ ゴミ集積場の整備により適切なゴミ管理が促進されるとともに,場内舗装により泥濘発生が減少する。また,排水機能が向上する。

ウ 上記ア及びイにより市場の利用環境が向上するとともに,衛生環境が向上し同市場を主に利用するマダン州の住民約11万人の食品安全性が改善される。

エ また、同国は我が国と漁業協定を締結し,我が国巻き網漁船が入漁しているなど,良好な二国間関係を有しており,本件実施は二国間関係の維持発展に寄与することが期待されるなど,外交上の観点からも有意義である。

3. 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)パプアニューギニア政府からの要請書

(2)JICAの準備調査報告書

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