評価年月日 平成26年3月10日
評価責任者:国別開発協力第一課長 宮下匡之
フィリピン共和国
「台風ヨランダ災害復旧・復興計画」
台風ヨランダの被災地域において,医療施設・学校・政府庁舎等の社会インフラや経済インフラ,防災インフラ等の早期復旧・復興(施設建設,機材調達)等につき優先度の高いものを支援し,もって災害に強い社会の形成に寄与することを目的とする。供与額は46億円。
本件実施によって復旧される施設の運営維持管理は,被災前にそれら省庁により運営維持管理されていたものが対象であり,引き続き適切な施設の維持管理が行われる必要がある。
(1)フィリピンは,7,109の島々から成る島嶼国。フィリピンでは通常,6月から11月の雨期に東の海上でモンスーン及び台風が襲来しており,毎年のように大規模な台風災害による経済的,人的被害を被っている。
(2)「過去に類を見ないほどの規模」と形容された台風ヨランダは,中心気圧895ヘクトパスカルという観測史上最低水準まで発達し,2013年11月8日早朝サマール島東部に上陸した。その後,レイテ島に再上陸し,フィリピン中部のビサヤ地方を勢力を保ったまま横断した。最大瞬間風速は105メートル,最高で約8メートルの浸水高を伴う高潮が発生した。結果,死者は6,000名を超え,被災家屋は100万戸に達し,400万人以上の避難民が報告されている。
(3)フィリピン政府はヨランダによる被災直後から,被災者への緊急支援に加え,インフラ及び地方政府機能の早期回復に向けて動き出し,国際社会に対して支援を求めた。2013年12月18日には,台風ヨランダ復旧・復興計画を発表し,生計手段の回復をはじめ,インフラや公共サービスの適切な復旧・復興を通じた災害に強い地域社会作りを基本方針として提示した。
本案件により復旧する施設,機材については,現地調査および相手側実施機関との協議結果を踏まえて,以下の方針に基づき選定した。
1)被災したインフラ,施設,機材の迅速な復旧を原則とした計画を行う。
2)ただし,今後,同様の台風に見舞われた場合の被害が減少するよう,対象となるインフラ,施設,機材の強靭化のモデルとなるような設計基準を採用する。
3)フィリピン政府復興長官による,復旧・復興に関する調達手続きにおける透明性確保の方針を考慮する。
本計画の実施により,以下のような成果が期待される。
(1)公共施設(政府庁舎,地域医療施設,学校)や公共インフラ(空港,道路・橋梁)のうち,優先度の高いものを復旧することにより,保健・教育施設を含む市民生活に不可欠な行政機能の早急な復旧が期待される。
(2)生活インフラ(電気,水),生計確立支援(農業等)を復旧することにより,市民生活の早急な復旧が期待される。
(3)気象レーダーを復旧することにより,防災体制に必要なインフラの早急な復旧が期待される。
(1)JICAの緊急開発調査報告書(JICAを通じて入手可能)
(2)フィリピン政府の要請書