評価年月日:平成25年5月1日
評価責任者:国別開発協力第一課長 横山 正
ミャンマー連邦共和国
ヤンゴン市上水道施設緊急整備計画
ヤンゴン市において緊急に改修が必要な浄水場施設及び市内の配管を改修することにより、上水道サービスの改善を図り、ヤンゴン市民の生活環境の改善に資することを目的とする。供与限度額は19.00億円。
案件完了後もミャンマー側による人員配置、予算措置等、適切な施設の維持管理が行われる必要がある。
(1)ヤンゴン市の上下水道整備を所掌しているのはヤンゴン市開発委員会(YCDC)であり、同委員会が運営する上水道サービスを受けている人口はヤンゴン市の推定42%程度である。上下水道に関する予算は不十分であり、頻繁に起こる故障や断水に対応するのみで、老朽化した各種施設の更新・修繕が適切に行われておらず、断水、低い給水圧、時間給水、50%もの漏水等、様々な問題が生じているとともに、急速に増加する給水需要への計画的な対策の実施が喫緊の課題となっている。
(2)ヤンゴン市の総給水量(52.4万m3/日)の約4割を供給するニャウフナッピン第1期浄水場送・配水ポンプ場には、合計4台のポンプが設置されているが、故障により、稼働しているポンプは2台のみであるとともに、不等沈下によるポンプ室への地下水噴出と、ポンプ吐出側の水撃現象防止も不十分であり、いつポンプが全台故障してもおかしくない状況であり、その場合、ヤンゴン市の給水量の約4割が失われることとなる。
(3)市内コカイン配水池からヤンキン地区等への配水主管は鋳鉄製の老朽管であり、道路の拡張に伴って埋設場所が路肩から道路の直下となり、車両等の荷重により漏水が頻発している。そのため、修理に伴う断水が頻発するとともに、修理の度に幹線道路が閉鎖され、交通渋滞が発生している。
(4)中低所得者用の高層住宅が多く建ち並ぶヤンキン地区ブロック1~6(人口約2万人)では、配管の老朽化による漏水が頻発するとともに、高層住宅には各戸に給水ポンプが設置され、配水管より加圧給水を受けているが、漏水時には地表面や地中の汚水をポンプで引き込んでしまう事故も発生しており、配水状況の改善が急務となっている。
対象施設を、ヤンゴン市の総給水量の約4割を供給する最重要の浄水場(ニャウフナッピン第1期浄水場送・配水ポンプ場)、市内の主要配水管等、改修ニーズが高く、着実な効果が見込まれる施設とした。また調査を通じ、ミャンマー側の運営・維持管理体制等に適した供与内容とした。
本計画の実施により、以下のような成果が期待される。
(1)本計画を通じた浄水場ポンプ、配水管等の更新により、ヤンゴン市内の水供給の安定性が向上する。具体的には、ニャウフナッピン第1期浄水場経由の給水人口65万人及びコカイン配水池からの配水管経由の給水人口5万人への給水時間が、それぞれ1日あたり16.5時間(2012年)から24時間(2016年目標値)に改善する。ヤンキン地区ブロック1~6内の漏水率が、50%から10%に減少する。
(2)配水ブロックの設定方法や配管敷設計画等に関する技術移転がなされ、漏水の削減により水道料金収入が増加する。
(3)コカイン配水池からの配水管の破裂事故が減少し、補修のための交通遮断による交通渋滞が減少する。
(1)JICAの概略設計概要資料
(2)ミャンマー政府の要請書