広報・資料 報告書・資料

政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日:平成25年2月7日
評価責任者:国別開発協力第三課長 貴島 善子

1. 案件名

1-1. 供与国名

モザンビーク共和国

1-2. 案件名

ナンプラ州モナポ初等教員養成校建設計画

1-3. 目的・事業内容

本計画は、モザンビーク北部ナンプラ州モナポにおいて、教員養成校1校(教室棟、事務・教務管理棟、図書室棟、便所棟、守衛棟、体育施設、教員宿舎等)を新設し、同教員養成校において必要となる家具(机、椅子、教育実験家具等)を供与するもの。
供与額:10.24億円

1-4. 環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

以下の事項が、モザンビーク政府により実施される必要がある。

(1)本計画により建設される教員養成校の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。
(2)教師など教員養成校運営に必要な人的手当及び予算措置を行うこと。

2. 無償資金協力の必要性

2-1. 必要性

(1)モザンビーク政府は、開発5ヵ年計画や「貧困削減行動計画」において、教育を含む人間社会開発を包括的な経済成長と貧困削減のための主要課題の1つと位置づけている。初等教員養成分野では、教育需要に対応した新規教員の要請に加え、無資格教員の有資格化を掲げており、養成カリキュラムの改訂、現職教員訓練の拡充等を通じた教育の質の向上に取り組んでいる。

(2)モザンビークでは2005年に初等教育無償化政策が導入されたことにより初等教育の急速な普及が実現され、前期初等教育(第1~5学年)では就学率が92.8%(教育省調査、2011年)と完全普及をほぼ達成している。一方、初等教育の拡大に対して教員の供給が追いつかず、2006年の前期初等教育における教員1人当たり生徒数は、76人となるなど、教員不足が深刻化している。

(3)これらの問題に対応するため、モザンビーク政府は無資格教員の採用(2009年まで実施)や前期中等卒業者に1年間の訓練を行う緊急短期養成プログラムの導入(2007年より実施)を図ったが、これらの緊急策は、かえって無資格又は十分な専門能力を持たない教員を増加させることとなった。初等教育修了率は2010年で50.8%(世界銀行、2011年)と未だに入学者の約半数が初等教育を修了できない状況にあり、2006年と2010年の比較では留年者比率、中途退学率ともにほぼ2%増(教育省学校成果調査)と悪化傾向にあることから、教育の質の改善が課題となっている。

(4)教育の質の改善に対応するため、今般、モザンビーク政府は、我が国に対し、ナンプラ州を対象に、新規教員の養成及び現職教員に対する再訓練の実施に必要な教員養成校の施設と宿舎の整備のための無償資金協力を要請した。

(5)なお、我が国の対モザンビーク援助方針は、本件教員養成校の建設サイトであるナカラ回廊の開発を援助重点分野としており、本件と整合している。

2-2. 効率性

施設の設計にあたっては、モザンビークが定める標準設計を基本とし、耐久性やコスト等の観点から必要最小限の変更を加え、適切な設計・仕様を決定した。

2-3. 有効性

(1)対象校における新規初等教員養成数が毎年、0人(2011年)から200人(2018年)に増加する。

(2)ナンプラ州における初等教員有資格率が向上する。

(3)現職教員研修の拡充により、無資格教員に対する資格取得プログラムや現職教員向け研修プログラムが拡充を通して、現職教員の能力が強化され、教育の質の向上に貢献する。

(4)男女同数の学生寮と便所等の整備により、女子学生の就学環境が改善されることで女性教員数の増加が期待される。

3. 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)モザンビーク政府からの要請書

(2)JICA協力準備調査報告書

このページのトップへ戻る
目次へ戻る