評価年月日 平成25年2月5日
評価責任者:国別開発協力第三課長 貴島善子
マラウイ共和国
リロングウェ中等教員養成校建設計画
本計画は,リロングウェ市圏内に中等教員養成校を建設することにより,教員資格を持つ中等教員の養成数を拡充し,中等教育の質の向上を図るものである。供与額は11億1,800万円であり,中等教員養成校,学生寮,付属中学校,教員住居の施設及び教育用家具,理科実験器具等の機材の整備を行うものである。
以下の事項がマラウイ政府により実施される必要がある。
(1)本計画により整備される教育施設の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。
(2)先方政府が本計画により増員される教職員の人件費等の予算確保を適切に行うこと。
(1)マラウイ政府は,教育の普及を開発重点分野と位置付け,「国家教育セクター計画(2008-2017)」において,中等教育の就学者増加,有資格教員数の増加,教育施設の改善及び効率的な利用促進を優先的政策課題として掲げている。
(2)マラウイでは,1994年に初等教育を無償化して以降,初等教育修了児童の増加に伴い,中等教育就学者数も約5万人(2003年)から約25.6万人(2011年)へと増加した。これに伴い,マラウイでは,中等教員不足が深刻化しており,これに対応するため,中等教員資格を持たない初等教員経験者等を中等教員として採用してきた。2011年においては,中等教員数11,300人のうち有資格教員は4,911人であり,残りの6割近い6,389人が中等教育カリキュラムの教科知識,教授法の訓練を十分に受けていない低資格または無資格の教員であるため,教育の質の確保が困難な状況となっている。
(3)マラウイ政府は,2017年までに中等教育の総就学率30%を目標に掲げ,そのために1万6,000人の有資格中等教員が必要であるとしている。これを達成するためには今後1万1,000人の新規有資格教員を養成及び低資格教員の有資格化の取り組みを強化することが必要である。マラウイでは,これまで唯一の中等教員養成機関であるドマシ教員養成校が年間約400人の中等教員を輩出してきた他,マラウイ大学等で教育学士あるいは教育分野の学士取得者の一部が教職に就くが,その数は限られていることから,現状のままでは2017年までに新たに必要とされる教員数の確保は極めて困難な状況にある。
(4)このような状況の下,マラウイ政府は,新たに中等教員養成校を建設することにより,有資格中等教員の養成数を拡充し,中等教育の質を向上させるため,我が国に無償資金協力を要請したものである。
他のドナーが実施した教員養成校建設事業(面積,仕様,平米単価等)と本事業を比較した上で,適切な設計・仕様を決定するとともに,コスト削減に努めた。
本件の実施により,以下のような成果が期待される。
(1)中等教員養成校が建設されることにより,事業完成3年後には,毎年新たに380人の有資格中等教員が育成される。
(2)資格を有する中等教員が増加することにより,中等教育の質の向上が期待される。
(3)教育分野での社会開発を図る本案件は同国の一層の安定,更には二国間関係の強化に寄与する。また,我が国は保健・教育5ヵ年コミットメント(「教育分野において今後2015年までの5年間で35億ドルの支援を行う」及び「700万人(延べ2,500万人)の子どもに質の高い教育環境を提供する」)を表明しており,本件は同公約の実現に資する。
(1)マラウイ共和国政府からの要請書
(2)JICAの概略設計調査報告書