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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日:平成25年5月22日
評価責任者:国別開発協力第三課長 貴島 善子

1.案件名

1-1.供与国名

リベリア共和国

1-2.案件名

モンロビア首都圏ソマリアドライブ復旧計画

1-3.目的・事業内容

リベリアの首都モンロビアの主要幹線道路であるソマリアドライブについて既設の2車線道路(全長13km)を4車線に拡幅整備し,既存橋梁1橋の架け替えを行うもの。供与限度額は49.39億円。

1-4.環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

以下の事項が,リベリア政府により実施される必要がある。

(1)本計画開始前に,住民移転の予備用地取得を含む社会的配慮への適切な対応を行うこと。

(2)本計画により建設される道路,橋梁,公共施設の適切な,維持管理を行うこと。特に,維持管理のために必要となる資材を遅滞なく調達・補充し,定期的なメンテナンスを確実に実施する。

2.無償資金協力の必要性

2-1.必要性

(1)リベリアの首都モンロビアの道路網全長9,916kmのうち,舗装されているのは734kmのみであり(出典:NTPS 2009)舗装率は7%程度と著しく低い状況にある。

(2)リベリアは,内戦後の復興により就労人口が増え続けているが,運輸・交通施設の整備が経済活動や人口の増大に追い付いていないため,モンロビア市内道路の渋滞は慢性化し,輸送コストの増大が経済発展の妨げの要因となっている。

(3)整備対象路線はモンロビア首都圏東部地区から中心部へのアクセス道路であり,毎日多くの通勤・通学者等が利用している。しかし,メシュラド湿地に隣接して東西方向に発展した街区を縦貫する幹線道路は1路線しかないため,急激な交通量増加に対応できず,交通渋滞が慢性化している。その結果,住民の主要な移動手段の一つであるバスやタクシーには,交通渋滞による追加料金が科せられるため,住民の金銭的負担も生じている。さらに,地区内の道路は歩道が十分に整備されておらず,特に雨天時には排水施設の不備もあり,路肩が泥濘化するなど,徒歩・荷車交通にとっても,通行の大きな障害となっている。

(4)このため,リベリア政府は,ソマリアドライブにおける交通の円滑化及びこれによる物流の活性化,経済社会開発の推進を目的とし,道路全線にわたる4車線の拡幅整備を計画し,同計画の実施に必要な資金につき,我が国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。

(5)リベリア政府は「貧困削減戦略プログラム」の中でモンロビア首都圏における道路セクター開発の重要性を指摘している。また,我が国支援により策定された「モンロビア都市施設復旧・復興整備マスタープラン」においては,本件対象路線であるソマリアドライブを最も優先度の高い路線のひとつとして位置づけている。近年沿岸域での油田開発が進む同国との二国間関係強化の観点からも本件実施の意義は大きい。

2-2.効率性

必要性,効率性,裨益効果等を総合的に勘案し,先方政府とも調整の上,補修すれば継続使用が可能と判断出来る状態の良い橋梁については,補修のみを計画する等,効率化に努めた。

2-3.有効性

(1)本件整備による交通の円滑化により,朝夕のラッシュ時における対象路線の通過に要する時間が約60分から約20分に短縮される。(これまで渋滞時の平均速度は20km/h 以下であったものが,60km/h で走行することが可能となる。)

(2)対象路線をタクシー及びバス等の交通機関により通過する場合,道路の渋滞により追加の金銭的負担が必要になっていたが,渋滞の解消により,これら追加的な経費支出が不要となり,沿線住民の貧困削減に資する。

(3)本件整備により,当該道路を利用する物流の円滑化が図られ,地域経済の活性化を通じた同国の社会・経済発展に貢献する。

(4)歩車道の分離,構造物による不法道路占有者の排除等により,歩行者等を含めた道路利用者の安全確保に資する。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)リベリア政府からの要請書

(2)JICA事業化調査報告書(JICAを通じて入手可能)

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