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政策評価法に基づく事前評価シート

評価年月日:平成26年1月20日
評価責任者:国別開発協力第一課長 宮下 匡之

1. 案件名

(1)供与国名

ラオス人民民主共和国

(2)案件名

南部地域前期中等教育環境改善計画

(3)目的・事業内容

本事業は,ラオス南部3県において,前期中等学校の施設及び設備を新設・建替えることにより,前期中等教育のアクセス・教育環境の改善を図るもの。供与限度額は10.69億円。

(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

ラオス側により,当該施設の運営・維持管理のための費用が継続的に確保される必要がある。

2. 無償資金協力の必要性

(1)必要性

ア ラオス政府は2020年までに後発開発途上国(LDC)から脱することを国家目標として市場志向型経済への移行を加速させており,これに伴い産業人材育成のニーズが高まっている。そのため,職業訓練,技術・高等教育,及び中等教育(前期は12~15歳の間の4年間,後期は16~18歳の間の3年間)の重要性も高まっている。初等教育純就学率は2008/09年の91.6%から2012/13年には96.6%へ向上しており,これに従い今後中等教育の就学者が増加することが見込まれる。さらに,前期中等教育が3年制から4年制に拡大したこともあり,中等教育(前期および後期)の就学生徒数は,2008/09年には421,899人であったが,2012/13年には543,289人に増加し,4年間で1.3倍になった。この生徒数増加に合わせて,ラオス政府は中等学校数を増加させているが(2008/09年の1,125校から2012/13年には1,494校まで増加 ),その実態は,小学校施設の間借りや,地域住民が協力して建てた仮設小屋であり,教育環境が劣悪である。

イ その中でも「カンボジア,ラオス,ベトナム開発の三角地帯(カンボジア,ラオス,ベトナムの国境地帯で少数民族が多数を占める山岳地域)」に位置する南部3県(サラワン県,セコン県,アッタプー県)は最貧困郡が集中する地域であり,他地域に比べて劣悪な教育施設の状況及び山岳地帯であるゆえのアクセスの悪さなどから,教育環境改善の必要性が特に高い地域とされている。具体的には,対象3県の前期中等教育の総就学率(2012/13年)は,全国平均が69.0%に対してサラワン県44.9%,セコン県57.4%,アッタプー県52.5%にとどまっている。

(2)効率性

ア 要請校64校より,(i)アクセスに問題のある学校,(ii)アクセスが困難で,著しく施工効率が悪い学校,(iii)必要教室数が1以下の学校,(iv)2013年10月時点で未開校の学校を除き,45校を計画対象校とした。

イ 要請内容を絞り込み,給水施設(井戸)については,ラオスでは一般的にコミュニティが水源を確保することとなっていることから対象外とした。また,アクセス道路については,これが整備されているサイトを対象校としているため,計画対象には含めない。図書室については,倉庫兼図書室という形で整備することとした。実験室については,実験指導のできる教員が不足していることや,標準機材リストが未整備であることなど,ソフト面の整備が不十分であることから対象外とした。

(3)有効性

本件の実施により,以下のような成果等が期待される。

ア 良好な環境で学べる生徒数の増加

2,800人(2013年) → 12,040人(2016年)

イ 新たに就学可能となる生徒数

5,143人(2016年)

3. 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)ラオス人民民主共和国政府からの要請書

(2)JICAの準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)

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