評価年月日:平成26年1月17日
評価責任者:国別開発協力第一課長 宮下 匡之
ラオス人民民主共和国
環境的に持続可能な都市における廃棄物管理改善計画
本事業は,ラオスにおいて環境的に持続可能な都市として位置づけられているビエンチャンにおける廃棄物管理のための中継基地建設,及びビエンチャン,ルアンプラバン郡,サヤブリ郡の廃棄物収集車両等の機材調達を行うことにより,廃棄物の収集・輸送環境の改善を図るもの。供与限度額は13.84億円。
ラオス側により,当該施設の運営・維持管理のための費用が継続的に確保される必要がある。
ア ラオスは,我が国の支援などにより,廃棄物収集・運搬・処分の廃棄物管理フローの確保を含む,廃棄物管理の枠組みを形成してきたが,経済成長・人口増加により,廃棄物発生量の増加への対応が課題となっている。ビエンチャン(人口約73.0万人,面積約3,920km2),ルアンプラバン郡(人口約7.8万人,面積約833km2),サヤブリ郡(人口約6.7万人,面積約2,285km2)は,ASEAN統合ロードマップに明記されている分野の一つである,「環境的に持続可能な都市」に登録されており,廃棄物管理能力強化を達成目標の一つとしているが,各都市の廃棄物収集率はそれぞれ20%以下,約60%,約40%である。未収集廃棄物は,主に野焼きで処理されるか不法投棄されており,病害虫や悪臭が発生している。また,廃棄物収集場でも,資機材の不足により,廃棄物の散乱,浸出水,悪臭,病害虫などが発生している。
イ これらの問題の最大の要因は,廃棄物収集・輸送方法が非効率的であることである。現在対象都市で利用されている収集車両は,ビエンチャン:47台,ルアンプラバン郡:8台,サヤブリ郡:3台であるが,その多くは廃棄物収集専用車両ではなくダンプトラックを流用している。また,ビエンチャンでは,市街地を回る収集車が途中で積み替えを行わず,市街地から約32km東にある最終処分場を往復しているため,大型トラックが市街地を巡回し,小型の収集車が長距離を走行するなど,非効率な輸送を行っている。
ウ ラオスでは今後も人口増加に伴う廃棄物発生量の増加(2013年から2020年の間に対象地域で約2~3倍増)が予測されるため,上記の問題を解決するために廃棄物収集・輸送の効率化による廃棄物処理能力の向上が急務となっている。
ア 今後,人口増加と経済発展に伴って増加する廃棄物を適正に収集・運搬するために,新規収集機材を投入して収集・運搬能力を向上させるとともに,廃棄物中継基地の建設によって運搬効率を向上,作業環境を改善させることとした。
イ 機材計画に際しては,対象3都市・郡が提出した総合的な廃棄物管理計画全体のうち,特に緊急性,必要性の高い機材を厳選することとした。
本件の実施により,以下のような成果が期待される。
対象3都市における廃棄物収集能力の向上
廃棄物収集量(t/日)
ビエンチャン 69.3(2013年) → 259.3(2020年)
ルアンプラバン郡 20.6(2013年) → 54.4(2020年)
サヤブリ郡 19.2(2013年) → 39.1(2020年)
廃棄物収集対象人口(人)
ビエンチャン 70,495(2013年) → 199,596(2020年)
ルアンプラバン郡 33,362(2013年) → 48,319(2020年)
サヤブリ郡 31,099(2013年) → 47,594(2020年)
(1)ラオス人民民主共和国政府からの要請書
(2)JICAの準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)