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政策評価法に基づく事前評価シート

評価年月日:平成25年5月13日
評価責任者:国別開発協力第一課長 横山 正

1. 案件名

(1)供与国名

ラオス人民民主共和国

(2)案件名

タケク上水道拡張計画

(3)目的・事業内容

ラオス中部都市タケクにおいて,既存の施設の老朽化による水質の悪化を改善し衛生環境の改善を図るとともに,現在の水供給不足及び将来的な需要増に対応するため,取水施設,導水施設,浄水施設及び送配水施設を建設する。また,水質試験器具の調達も行う。供与限度額は16.43億円。

(4)環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

以下の事項がラオス側により実施される必要がある。

ア 本案件で整備される施設の維持管理に必要な人員体制を,カムアン県水道公社が確保すること。

イ 実施機関が適切に水道料金を調整の上で水道事業を運営し,本案件で整備される施設が恒常的に維持されること。

ウ 配給水管が,スケジュールどおり敷設されること。

2. 無償資金協力の必要性

(1)必要性

ア ラオスでは,都市化の進展に伴い,拡大する給水需要への対応が課題になっている。中でも,中部カムアン県の県都であるタケク郡では,現在,老朽化した既存浄水場及びEUが整備した井戸から給水を行っているが,都市部全体における水道普及率は50%程度に留まっており,同国の都市部平均水道普及率である55%を下回っている。また,同郡では,井戸水の水質悪化及び乾期の水不足に加え,浄水場が設計レベルを上回る過剰負荷の運転を強いられているなど,多くの問題が発生している。

イ さらに,2011年には第3メコン橋が完工し,近郊では工業団地の建設計画等もあることから,同郡では,今後更なる産業発展・人口増加に伴う水需要の増大が見込まれている。

ウ ラオスでは,2011年に発表された「第7次国家社会経済開発5か年計画(2011-2015)」において,上水の整備(水道の普及)が重要な課題の一つとして位置づけられている。また,1999年の上水道整備に関する首相令においては,2020年までに都市部水道普及率を80%とする開発目標が掲げられている。

エ 以上の状況の下,ラオス政府は財政状況も厳しく,施設・機材の整備を自助努力で行うのは困難であるため,我が国に無償資金協力を要請してきたものである。

(2)効率性

ア 本事業を設計するにあたっては,タケク郡都市部において2010年に50%であった給水率を,2020年までに国家目標の80%まで増加させることを想定し,必要・十分な取水,浄水及び配水の施設規模を決定している。

イ また,本事業で調達する機材については,建設される浄水施設の運転維持管理,水質管理の実施に最低限必要と思われる水質分析機材を調達することとした。

ウ 同地区において,実績として近年も対象住民数が着実に増加していること,また,カムアン県水道公社では,一括での支払が困難な住民に対して給水栓接続費用の分割払いも実施していることから,水道メーターを含めた給水管接続費用は住民負担が可能と判断し,本事業の対象外とした。

エ 施工体制については,コスト縮減の観点から,現地建設業者の能力,規模,実績を勘案の上,日本の請負業者の下で現地業者を十分活用する方針とした。

オ 施工工程については,雨期期間中の河川水位上昇を考慮の上,河川に建設する取水施設の建設工事が乾期に可能となるように策定し,効率化に努めている。

(3)有効性

本件の実施により、以下のような成果が期待される。

ア 対象地域における給水人口が増加し,当該地区における給水率が国家目標として掲げられた水準に達する。(2010年:25,000人(50%)→ 2020年:50,000人(80%,人口増加も加味したもの))

イ 過剰運転の状態にあった浄水施設が適切な稼働率で安定的に運転されるようになり,持続可能な給水体制が整う。(平均施設稼働率 2010年:110% → 2020年:83%)

ウ 安全な水の安定的な供給が実現することにより,水因性疾患数が減少するなど,住民の公衆衛生環境が改善される。

3. 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)ラオス人民民主共和国政府からの要請書

(2)JICAの準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)

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