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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日:平成25年5月10日
評価責任者:国別開発協力第二課長 徳田 修一

1. 案件概要

1-1. 供与国名

キルギス共和国

1-2. 案件名

ビシュケク-オシュ道路クガルト川橋梁架け替え計画

1-3. 本プロジェクトの目的

本計画は、キルギス国内の重要幹線道路であるビシュケク~オシュ道路上に位置する、老朽化が著しいジャララバード州クガルト川橋梁を架け替えることにより、対象橋梁上及びビシュケク-オシュ道路上の円滑な交通を実現し、沿線地域の社会・経済の活性化を目的とする。供与限度額は11.96億円。

1-4. 環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

以下の事項がキルギス政府により実施される必要がある。

(1)本計画により新設される橋梁本体及び取り付け道路等の付帯施設に関する維持管理を適切かつ継続的に実施すること。

(2)維持管理に必要な予算措置を行うこと。

2. 無償資金協力の必要性

2-1. 必要性

(1)内陸国であるキルギスの運輸セクターは、人や物資の動きの約95%を道路交通に依存しており、国内の道路網が国民生活において重要な機能を有している。しかし、キルギスの道路網の大部分は旧ソ連時代に完成したもので、1991年の独立以降の同国の経済低迷により、道路や橋梁等の道路上構造物の改修が十分に行われず、老朽化が進行している。道路状況の悪化は、キルギス国民の生活に必要な物資の輸送や周辺国との交易に支障をきたし、同国の経済成長、経済活性化の阻害要因となっている。

(2)キルギス政府は、国家開発戦略の重点分野の1つである「経済成長の質の改善」の中に運輸・道路セクターを掲げ、中でも国際輸送回廊と国内道路網のリハビリを優先項目として取り組んでいる。しかし、慢性的な予算不足が続いており、外国や国際機関等からの援助に依存しながら、道路インフラ整備を進めざるを得ない状況にある。

(3)本案件の対象橋梁である、クガルト川橋梁が位置するビシュケク~オシュ道路は、キルギスの首都ビシュケクと第二の都市オシュを結ぶ重要幹線道路で、同国南部と北部を結ぶ唯一の幹線道路である。さらに、同道路は北のカザフスタン、ロシア、南のウズベキスタン、タジキスタンにつながるアジアハイウェイの一部であり、国際回廊(CAREC3)にも位置付けられている。このビシュケク~オシュ道路南部のジャララバード州に位置するクガルト橋梁の日平均交通量は7,900台と非常に多いが、同橋梁は40年以上前に建設されており、老朽化及び損傷も激しく危険な状態にある。キルギス政府は、同橋梁を国内で改修を必要とする橋梁の中でも最も緊急度の高い橋梁の1つに位置付けており、早急な架け替えが必要とされている。

2-2. 効率性

新橋の設計にあたっては、橋梁前後の直線道路につなぐため平面線形を維持できる架橋位置とすること、住民移転・用地取得等の環境社会配慮上の重大な問題が発生しないようにすること、取り付け道路や迂回路等を考慮した上でより経済的な総事業費となること、施工が困難でなく相手国による維持管理に多大な負担がかからないことを選定条件として、効率化を図った。

2-3. 有効性

本計画の実施により、以下のような成果が期待される。

(1)対象橋梁の耐荷重等が増強されることにより、現行の走行可能速度40km/時が80km/時に向上し、通行可能な車両重量が30トンから43トンに増加することで、輸送時間の短縮や安定的な輸送路確保が図られる。また、歩道幅員が0.75mから1.5mに拡張されることにより、歩行者の安全性が向上し、交通事故発生の危険性が低減する。

(2)橋梁及び道路の嵩上げ(0.5m)により、十分な河積断面が確保され、新設橋梁、取り付け道路及び周辺地域への洪水被害が低減される。

(3)老朽化した対象橋梁が架け替えられることで、キルギスの最重要道路であるビシュケク~オシュ道路のボトルネックが解消され、キルギス国内の輸送路が確保されるとともに、国際幹線道路としての隣国へのアクセスが安定化ならびに迅速化されることにより、キルギスの経済発展に寄与する。

3. 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)キルギス政府からの要請書

(2)JICAの準備調査報告書(JICAホームページより入手可能)、JICAの概略設計概要資料

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