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政策評価法に基づく事前評価シート

評価年月日:平成25年9月30日
評価責任者:国別開発協力第一課長 宮下 匡之

1. 案件名

(1)供与国名

東ティモール民主共和国

(2)案件名

ブルト灌漑施設改修計画

(3)目的・事業内容

本事業は,灌漑施設の改修及び建設と共に水利組合強化のための技術的支援により,コメ栽培面積の拡大と生産量の増大を目的とするもの。供与限度額は14.99億円。

(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

東ティモール側により,当該灌漑施設の維持・管理のための予算が継続的に確保される必要がある。

2. 無償資金協力の必要性

(1)必要性

ア 東ティモールでは,農業は人口の7割が従事する主産業だが,主要作物のコメの収量は2.0t前後と,インドネシアの5.01t/ha(2010年)やベトナムの4.98t/ha(2010年)に比べてもまだ低い。コメの自給率も65%(2011/12 農水省)と低く,毎年他国より輸入や支援が必要とされており,農業分野において政府は食糧自給率の向上を重点課題としている。市場へのアクセス改善や農業生産に係る近代的な技術の習得のほか,農民組織についても組織化及び活動レベルが低い点など社会状況についても改善が必要である。

イ ブルト灌漑地区は,国内のコメ生産拡大地区として政府が特定した9ヶ所の優先灌漑地区 の1つであり,首都ディリと第2の都市バウカウを結ぶ国道1号線上に位置し,都市部への生産物輸送が容易である。また,水源となるラレイア川は,年間を通して灌漑水源となる河川水取水が可能であり,また農民の生産意欲も高く,雨期・乾期の2期作及び作付面積の拡大が可能である。

ウ 一方,現状のブルト灌漑地区では,取水施設が洪水により崩壊した状態にあり,また水路も土砂堆積により機能が低下しているため,安定的な取水が出来ない状況下で,限られた範囲においてコメ栽培が行われているにすぎない。長期的かつ安定的な用水供給を行い,コメ栽培面積の拡大と生産量の増大を図るためには,より耐久性の高い取水施設の整備が急務となっている。

エ 東ティモール政府は,「戦略的開発計画(SDP)2011-2030」において,農業セクターを経済成長のための主要セクターの一つと位置づけ,2020年までに食糧自給を達成することを目標に掲げている。

(2)効率性

ア 既存の取水施設は,洪水により崩壊し,水路も土砂堆積等により機能低下を招いている。その点を踏まえ,安定的な取水ができ,かつ耐久性の高い施設を整備すべく,取水位を高めて灌漑面積を拡大するための固定堰や取水ゲートの建設,排水施設となる幹線用水路等の改修・整備等が最適であると判断した。

イ 2県にまたがる灌漑地区の整備であり,灌漑施設の有効利用を目的として,受益者農民で構成される水利組合の設立・能力強化支援を行うこととした。

(3)有効性

本件の実施により,以下のような成果が期待される。

ア マナツト県及びバウカウ県ブルト灌漑地区における灌漑施設の改修及び建設と共に水利組合強化のための技術的支援による,コメ栽培面積の拡大と生産量の増大。

イ 具体的には2018年について,コメの単収は約1.3倍,コメの作付面積は雨季約1.6倍,乾季約4.2倍(いずれも2012年比)等が期待される。

3. 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)東ティモール民主共和国政府からの要請書

(2)JICAの準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)

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