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政策評価法に基づく事前評価シート

評価年月日:平成25年7月8日
評価責任者:国別開発協力第一課長 宮下 匡之

1. 案件名

(1)供与国名

東ティモール民主共和国

(2)案件名

モラ橋護岸計画

(3)目的・事業内容

2010年より続く雨期の長雨と度重なる洪水により深刻な被害を受けているモラ橋の洗掘防止工事及び近隣の護岸整備を行い,同地域における安全な渡河の環境を安定的に保持することを目指すもの。供与限度額は11.08億円。

(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

本事業の完了までに,東ティモール側により,当該橋梁及び周辺河岸の維持・管理のための人員及び予算が確保され,事業完了後には同国政府により定期的な点検が行われる必要がある。

2. 無償資金協力の必要性

(1)必要性

ア 東ティモール国は,首都ディリを核とする北部地域と,穀倉地帯である南部地域が,同国を東西に走る山脈によって分断されており,南北を結ぶ交通網開発が必要とされてきた。そのため,東ティモール政府は我が国に対して,ディリと農業開発の拠点となる南部地域の主要都市スアイを結ぶ幹線道路(国道2号線、全長約180km)の道路・橋梁の改修への支援を要請した。

イ 同要請を受け,我が国は第1期案件として,「ディリ―カーサ道路改修事業」(2004~2006年),第2期案件として南岸の「モラ橋梁建設計画」(2011年8月完工)を実施した(いずれも無償資金協力)。

ウ 上記の両事業の内,モラ橋の完成により,雨期・乾期を含む年間を通じたモラ川の車両の通行が可能となり,経済・社会的便益がもたらすと期待されている。しかし,2010年より続く雨期の長雨と度重なる洪水により,モラ川岸は深刻な被害を受け,モラ橋の約500m上流では川の西岸が300mほどに渡って洗掘され,東岸の護岸壁も損傷している。モラ橋付近の橋梁も大きな被害を受け,同国政府による緊急復旧対策が行われているが,今後,大規模な洪水によりモラ橋にも深刻な被害が及ぶことが懸念されている。

エ 東ティモール政府は,「戦略的開発計画(SDP)2011-2030」において,南部スアイ-ベタノ区間を農業振興及び将来的な石油産業開発の観点から南部地方における交通の要の一つと位置付けており,モラ橋は当該区間上に位置している。また,同国政府の志向する南部地域開発及び南北交通網の整備を効果的に実施する観点からも,モラ橋の安全性確保は重要である。

オ かかる状況の下,同国政府は我が国に対し,モラ橋の安全性確保のための協力を要請した。

(2)効率性

ア 現在被害の生じている橋脚や河岸等の状況を分析し,これまでの破損・崩壊原因を踏まえた設計を行った。また,東ティモール側の維持管理負担を極力抑える設計とすることにも留意した。

イ 施工工程については,雨期期間中に施工の準備を行い,乾期期間を十分に施工にあてれるよう配慮した計画としており,事業の効率化に努めている。

(3)有効性

本件の実施により、以下のような成果が期待される。

ア 当該渡河地点は,降雨・洪水のために年間で約60日間通行止め(2007年)となっていたが,2011年の新モラ橋完成により年間を通じて渡河が可能となった。本事業にて,洪水による洗掘等のリスクにさらされている既設橋梁等の渡河関連インフラの機能・効果を持続させるすることにより,年間を通じて安全に渡河が可能な現在の状況が安定的に保持される。

イ 河岸の侵食を防止することにより,洪水のリスクにさらされている周辺住民の生活の安全確保にも資する。

3. 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)東ティモール民主共和国政府からの要請書

(2)JICAの準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)

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