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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日:平成25年11月1日
評価責任者:国別開発協力第一課長 宮下 匡之

1. 案件名

1-1. 供与国名

カンボジア王国

1-2. 案件名

国道一号線改修計画(第4期)

1-3. 目的・事業内容

首都プノンペンとベトナム国境のバベットを結ぶ主要国道であるカンボジア国道一号線において,起点となるプノンペン都モニボン橋から4.0km地点までの道路改修・拡幅工事及び付帯工事を行い,堤防道路としての周辺住民の安全・財産の確保,同国を含むメコン地域全体における物的・人的交流の促進と経済発展を図るものであり,供与限度額は15.85億円である。

1-4. 環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき事項

以下の事項が,カンボジア王国政府により実施される必要がある。

(1)適切な住民移転手続き(住民への十分な情報提供と合意取得,適切な補償単価設定・資産評価・補償費支払い,移転地のインフラ整備,苦情処理システムの的確運用,生計回復プログラムの実施等)。

(2)電柱,電線,通信設備,水道管等の障害物の移設。

(3)工事期間中の周辺住民,一般交通及び工事従事者に関する安全確保と影響の軽減。

2. 無償資金協力の必要性

2-1. 必要性

(1)カンボジア政府は,国家開発の枠組みとして策定している四辺形戦略において「インフラストラクチャーの修復と整備」を四本柱の一つに掲げ,同戦略に基づく開発計画である「国家戦略開発計画2009-2013年」において主要国道の改修,整備を目標の一つに掲げている。

(2)国道一号線は,ホーチミン,プノンペン,バンコクをつなぐ南部経済回廊の一部を形成する国際幹線道路であり,カンボジアのみならずメコン地域全体にとって,物的・人的交流を促進する社会・経済活動の基軸となる道路である。しかしながら,インドシナ紛争に続く内戦により劣化し,さらにはメコン河大洪水(2000年)等の影響により損傷が著しい状況である上,近年の急激な経済発展に伴い交通需要が増加しており,改修は喫緊の課題となっている。

(3)このような背景の下,カンボジア政府は国道一号線プノンペン~ネアックルン区間の改修について,資金及び技術力の不足により自力での実施が困難であることから,我が国に対し支援要請が行われたもの(2001年)。なお,これまでに我が国は累次の環境社会配慮,基本設計等に係る各種調査を行った上で,2005年から2011年の間に第1期~第3期工事(52km)を実施しており,本件は最終区間(4km)である。

2-2. 効率性

(1)南部経済回廊整備上の最重要区間に計画対象を絞るなど事業の効率性を確保しており,本件は,我が国の協力事業の実施済箇所を除く,起点から4kmの最も交通量の多い区間を対象としている。

(2)住民移転規模の最小化を指向している(工事に必要な道路幅を最低限の範囲に縮小)。

(3)起点から0.380kmの区間については,路面状態や工事条件等を考慮し,路盤及び舗装のみの打替とする。

(4)建設機械,建設資材は,可能な限り現地調達とする。

(5)工事期間中の通行車輌への影響を少なくするような交通規制・道路占有・夜間施工を計画する。

2-3. 有効性

(1)交通容量の増加,走行時間の短縮,走行性の向上及び交通安全の向上により,国際幹線道路としての機能が向上する(マーケットなど一部の区間を除き,自動車走行速度は0.0~2.0km地点で40km/h,2.0~4.0km地点で60km/h,4.0~56.0km地点で80km/hとなり,プノンペン~ネアックルン区間の通過所要時間は,工事前の1時間50分から45~50分に短縮される)。

(2)道路面の嵩上げや道路排水施設の改善により,洪水に対する道路の流下能力が向上し,国道一号線への冠水やプノンペン都周辺地域への越流被害を防止する

3. 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)カンボジア王国政府からの要請書

(2)JICAの準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)

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