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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日:平成25年3月14日
評価責任者:国別開発協力第一課長 横山 正

1 案件概要

(1)供与国名
 ベトナム社会主義共和国

(2)案件名
 第二期国道改修計画

(3)目的・事業内容
 ベトナム全国の国道・省道上の脆弱な橋梁の改修及び架け替えを行うことにより,対象地域の交通需要への対応を図り,もってASEAN・メコン域内の連結性強化も含めた物流ネットワークの効率化,安全性の向上及び対象地域の社会経済発展に寄与するもの。

ア 主要事業内容

  • 全国の国道・省道における橋梁の改修及び架け替え

イ 供与条件

供与限度額 金利 償還(うち据置)期間 調達条件
247.71億円 年1.4% 30(10)年 一般アンタイド

(注)コンサルタント部分は金利0.01%を適用。


(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

ア 融資承諾前にサブプロジェクトが特定されていないが,環境や社会への重大で望ましくない可能性を持つようなサブプロジェクトが環境への影響をもつことが想定される。

イ 本計画では実施機関が円借款で雇用されるコンサルタントの支援を受けつつ,ベトナム国内法制度及び「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」に基づき,各サブプロジェクトについて該当するカテゴリ分類に必要な対応策がとられることとなっている。なお,サブプロジェクトにカテゴリA案件は含まれない。

ウ 外部要因リスクは特になし。

2 資金協力案件の評価

(1)必要性

ア 開発ニーズ
 ベトナムにおける国道,省道,地域道,村道を含めた道路網の舗装率は57.3%(2007年)にとどまり,長年の維持・補修不足に加え交通量増や重量車両の増加に伴い,多くの道路・橋梁で拡幅・改修・再舗装が必要となっている。国道・省道上の橋梁の老朽化や強度不足は,円滑な物流のボトルネックとなっている他,地方部では,雨季には冠水や自然水害による被害のため通行不能となる部分も多く,地域住民の生活に支障をきたしている。
 道路・橋梁はベトナムにおける主要輸送手段であり,既存インフラの整備改善は地域住民経済への貢献,交通安全の観点からも重要視されている。 また,産業振興,本邦企業を含む外国投資促進の観点,ASEAN・メコン域内の連結性強化の観点からも,本計画を実施する必要性は高い。

イ 我が国の基本政策との関係
 2012年12月に改訂した国別援助方針は,1)成長と競争力強化(市場経済システムの強化,産業開発・人材育成,幹線交通及び都市交通網の整備,エネルギーの安定供給及び省エネルギーの推進等),2)脆弱性への対応(環境問題,災害・気候変動等の脅威への対応,保健医療,社会保障・社会的弱者支援,農村・地方開発等),3)ガバナンス強化(法制度整備,司法・行政機能強化等)を重点分野としている。本計画は上記1)に資するものであり,我が国の基本政策とも合致する。

(2)効率性
 維持管理能力強化のために構築した橋梁管理データベース(Bridge Management System(BMS))を活用し,適切な運営維持管理体制の継続及び効果的な全国橋梁のモニタリングを行うことにより,案件の効率性を確保する。

(3)有効性
 本計画によって,国道・省道上の脆弱な橋梁の改修を実施することにより,日交通量の増加及び所要時間の短縮(例:Cau Ghep橋,完成2年後(2019年)見込み:日交通量17,074→32,217台/日,所要時間162分→78分)を図り,交通需要の増加への対応及び安全性の向上を図り,もってASEAN・メコン域内の連結性強化も含めた物流ネットワークの効率化を通じて対象地域の社会経済発展が期待される。

3 事前評価に用いた資料,有識者等の知見の活用

 要請書,国際協力銀行環境社会配慮ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/archives/jbic/index.html他のサイトへ),その他国際協力機構より提出された資料。
 案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index/anken/zyoukyou.html),借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/index.html他のサイトへ)及び事業事前評価表(http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html他のサイトへ)を参照。
 なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。

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