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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日:平成25年3月1日
評価責任者:国別開発協力第一課長 横山 正

1 案件概要

(1)供与国名
 ベトナム社会主義共和国

(2)案件名
 オモン3コンバインドサイクル発電所建設計画(第一期)

(3)目的・事業内容
 ベトナム南部メコンデルタ地域のカントー市に750~900メガワットのガスコンバインドサイクル発電所の建設を行い,ベトナム最大の都市ホーチミン市を含む南部地域への電力の安定供給を図るもの。

ア 主要事業内容

  • ガスコンバインドサイクル発電所整備
  • コンサルティングサービス

イ 供与条件

供与限度額 金利 償還(うち据置)期間 調達条件
279.01億円 年1.4% 30(10)年 一般アンタイド

(注)コンサルタント部分は金利0.01%を適用。


(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

(ア)環境影響評価(EIA)報告書は,2009年7月にベトナム天然資源環境省により承認済み。2006年8月に放水路・放水口等の位置が変更されたため,追加環境影響評価報告書が作成され,2006年11月にベトナム天然資源環境省により承認済み。

(イ)隣接するオモン4火力発電所及び共有施設と合わせて25.6ヘクタール(うち本計画分14.9ヘクタール)の用地取得,231人の住民移転を伴い,ベトナム国内法及びカントー市人民委員会決定に沿って用地取得,補償に係る手続が進められ,2009年に完了済み。

(ウ)事業開始後の大気質,水及び騒音については,ベトナム国内の排出基準及び環境基準を満たすべく,高煙突,排水処理施設及び静音設計機材の採用等の緩和策がとられる予定。

2 資金協力案件の評価

(1)必要性

(ア)開発ニーズ
 近年,ベトナムは年率平均7%前後の高いGDP成長率を記録し,これに伴い,2006年から2010年までの電力需要は平均13.3%で伸長し,最大需要は10,187メガワットから17,165メガワットへと約1.7倍に増加している。2007年に承認された「第6次国家電力マスタープラン」では,2015年に向けて毎年約17%の電力需要増を見込んでおり,2008年から2015年にかけて,計30ギガワット近くの電源開発を想定している。しかし,同マスタープランに記載される電源開発投資計画の多くは遅延しており,ベトナムの電力需給を一層逼迫させていることから,本計画のニーズは大きい。

(イ)我が国の基本政策との関係
 2012年12月に改訂した国別援助方針は,1)成長と競争力強化(市場経済システムの強化,産業開発・人材育成,幹線交通及び都市交通網の整備,エネルギーの安定供給及び省エネルギーの推進等),2)脆弱性への対応(環境問題,災害・気候変動等の脅威への対応,保健医療,社会保障・社会的弱者支援,農村・地方開発等),3)ガバナンス強化(法制度整備,司法・行政機能強化等)を重点分野としている。本計画は上記1)に資するものであり,我が国の基本政策とも合致する。

(2)効率性
 隣接地に整備予定のオモン4火力発電所(BOTを予定)と管理棟,冷却水取水路や放水路等の基礎インフラを共有し,効率的な施設整備を行うことで,案件の効率性を確保する。

(3)有効性
 本計画の実施により,同国南部における最大電力需要(2020年時点で約26.7ギガワット)の約3%相当の電力を供給することが可能となる。それにより,ベトナム最大の都市ホーチミン市を含む南部地域への電力の安定供給を図ることで,同国の経済及び社会開発の促進が期待される。

3 事前評価に用いた資料,有識者等の知見の活用

 要請書,国際協力銀行環境社会配慮ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/archives/jbic/index.html他のサイトへ),その他国際協力機構より提出された資料,ベトナム国別ODA評価報告書(2006年度)。
 案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index/anken/zyoukyou.html),借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/index.html他のサイトへ)及び事業事前評価表(http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html他のサイトへ)を参照。
 なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。

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