評価年月日:平成25年2月12日
評価責任者:国別開発協力第二課長 徳田修一
(1)供与国名
スリランカ民主社会主義共和国
(2)案件名
大コロンボ圏送配電損失率改善計画
(3)目的・事業内容
スリランカの首都圏である大コロンボ圏において送配電網の整備をすることにより,同地域における電力需要増大への対応,送配電損失率の改善および電力供給信頼性の向上を図り,同国における投資および経済発展の促進に寄与するもの。
ア 主要事業内容
イ 供与条件
供与限度額 | 金利 | 償還(うち据置)期間 | 調達条件 |
---|---|---|---|
159.41億円 | 0.3% | 40(10)年 | 一般アンタイド |
コンサルタント部分は金利0.01%を適用。
(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点
ア EIA(環境影響評価)
影響を及ぼしやすいセクター・特性及び影響を受けやすい地域に該当せず,環境への望ましくない影響は重大でないと判断される。環境影響評価(EIA)報告書は,同国国内法上作成が義務付けられていない。
イ 用地取得
住民移転および用地取得を伴わない。
ウ 外部要因リスク:特になし。
(1)必要性
ア 開発ニーズ
スリランカでは,近年の年平均7%の経済成長に伴い,エネルギー需要が増加しており,電力需要の増加に対応した大規模な電源開発が進められている一方,送配電網の整備は進んでおらず,送配電損失率の改善及び送配電容量の増強が課題となっている。とりわけ,全国GDPの約5割を占め,経済活動の中心地である大コロンボ圏の電力消費量は年率約10%前後で増加している。そのため,電力需要増大及び送電負荷増大に伴う電力損失量の増大への対応が喫緊の課題となっている。
イ 我が国の基本政策との関係
「対スリランカ国別援助方針」(2012年6月)における重点分野として「経済成長の促進」が定められ,そのために必要な電力等のインフラ整備を重視している。また対スリランカJICA国別分析ペーパーにおいて「電力事情の改善」が重点課題であると分析しており,本計画はこれら方針・分析と合致する。
(2)効率性
インフラ設備を有する現地関係機関(港,道路等)との事業承認等の調整を円滑に行うため,関係機関で構成される協議会を設置し,定期的な情報連絡・協議を行う。
(3)有効性
本事業は,沿海部での大規模石炭火力発電所の運転開始に応じて,中高圧の地中送電網を増強することにより,都心部への電力安定供給の実現及び送配電損失率を低減する(同2018年度目標値 送電損失率低減量:20,009メガワット時,配電損失率低減量:4,005メガワット時)ことを目標としている。
要請書,スリランカ国別評価報告書(2007年度),これまでの国際協力機構環境社会配慮ガイドライン,その他国際協力機構より提出された資料。
案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要,借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース及び事業事前評価表を参照。
なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。