評価年月日:平成25年3月5日
評価責任者:国別開発協力第二課長 徳田修一
(1)供与国名
インド
(2)案件名
ビハール州国道整備計画(フェーズ2)
(3)目的・事業内容
インド東部ビハール州において,国道82号線の4車線化及びバイパス整備を行うことで,急増する道路交通需要への対応を図り,もって地域経済の発展に寄与するものである。
ア 主要事業内容
イ 供与条件
供与限度額 | 金利 | 償還(うち据置)期間 | 調達条件 |
---|---|---|---|
214.26億円 | 1.40% | 30(10)年 | 一般アンタイド |
(注)コンサルタント部分は金利0.01%を適用。
(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点
ア EIA(環境影響評価)
2011年2月にインド環境森林省による承認済み。
イ 用地取得
本計画は,約336ヘクタールの用地取得及び約1,166世帯の住民移転を伴い,インドの国内手続に沿って取得が進められる。
ウ 外部要因リスク:特になし。
(1)必要性
ア 開発ニーズ
インド東部のビハール州では,近年の経済発展に伴って同州の車両台数は増加する一方で(10年間で約2.5倍),同州の道路整備水準は低く(インド国平均道路密度は387キロメートル/10万人に対し,同州の道路密度は125キロメートル/10万人),早急な道路網の整備が必要となっており,本計画のニーズは大きい。
イ 我が国の基本政策との関係
2006年6月に策定された「国別援助計画」においては,今後の対インドODAの重点目標として,(a)経済成長の促進(「経済成長を通じた貧困削減」を追求するためのインフラの整備等),(b)貧困・環境問題の改善及び(c)人材育成・交流拡大(強固な二国間関係の構築を念頭)を掲げている。本計画は,主要幹線道路の整備及び交通利便性の向上という観点から,同国のインフラ整備に資する案件として上記(a)に資するものであり,我が国の基本政策とも合致する。
(2)効率性
本事業の所管省庁である道路交通省に対し,高速道路政策アドバイザーとして専門家を派遣している(2011年~2013年)ほか,同省に対しては過去にも,有料道路の事業運営に関し技術指導・政策助言を行う専門家の派遣(2004年~2006年)を実施した経験があり,これら技術協力事業にて養成された知見を活用することで本事業を効率的に実施することが期待される。
(3)有効性
本計画の実施により,ビハール州において急増する道路輸送需要への対応を図り,もって地域経済の発展に寄与することが期待される(完成1年後(2019年)見込み:1日当たり交通量13,321 PCU/日(2011年)→23,428 PCU/日,平均走行速度43.23キロメートル/時(2011年)→58.82キロメートル/時)。また,インドの経済・社会の発展を通じた我が国との二国間関係の強化が期待される。
※PCU(Passenger Car Unit):
大型車や二輪車等の大きさが異なる車両に対し特定の比率を乗じて,交通量を乗用車だけから構成されている場合の値に換算したもの。
インド政府要請書,これまでの国際協力銀行環境社会配慮ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/archives/jbic/index.html),その他国際協力機構より提出された資料,インド国別評価(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/hyouka/kunibetsu/indo.html)。
案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index/anken/zyoukyou.html),借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/index.html)及び事業事前評価表(http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html
)を参照。
なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。