評価年月日:平成25年2月1日
評価責任者:国別開発協力第二課長 徳田修一
(1)供与国名
インド
(2)案件名
チェンナイ地下鉄建設計画(第三期)
(3)目的・事業内容
インド南部タミル・ナド州のチェンナイ都市圏において,地下鉄及び高架鉄道による高速輸送システム(約43.6キロメートル)の建設を行うもの。
(ア)主要事業内容
(イ)供与条件
供与限度額 | 金利 | 償還(うち据置)期間 | 調達条件 |
---|---|---|---|
486.91億円 | 1.40% | 30(10)年 | 一般アンタイド |
(注)コンサルタント部分は金利0.01%を適用。
(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点
(ア)EIA(環境影響評価)
EIA報告書はインド国内法上作成が義務付けられていないが,2008年5月に作成済み。
(イ)約14,05ヘクタールの用地取得及び550世帯の住居・216軒の店舗の移転を伴い,インドの国内手続きに沿って取得が進められる。
(ウ)外部要因リスク:特になし。
(1)必要性
(ア)開発ニーズ
チェンナイ都市圏は,インド第4位の人口を有する南インド最大の都市圏であり,その中心であるチェンナイ市の人口密度(26,000人/平方キロメートル)は非常に高い一方,道路面積の割合は低く,道路網の改善及びバス等既存の公共交通の輸送能力の向上が難しい状況から,大容量の公共交通システムとして地下鉄の早急な整備が強く求められている。このような状況を踏まえると,本計画のニーズは大きい。
(イ)我が国の基本政策との関係
2006年6月に策定された「国別援助計画」においては,今後の対インドODAの重点目標として,(a)経済成長の促進(「経済成長を通じた貧困削減」を追求するためのインフラの整備等),(b)貧困・環境問題の改善及び(c)人材育成・交流拡大(強固な二国間関係の構築を念頭)を掲げている。本計画は,都市交通システムの整備という観点から,同国のインフラ整備に資する案件として上記(a)に資するものであり,我が国の基本政策とも合致する。
(2)効率性
効率的な実施及び運営維持管理のためには,財務的に自立した事業実施体制の確立が重要との認識の下,特別目的事業体(SPV)を設立して事業実施に当たっており,完成後は同社が運営維持管理に当たることとしている。
(3)有効性
本計画の実施により,チェンナイ都市圏の増加する輸送需要への対応を図り,もって交通混雑の緩和と交通公害減少を通じた地域経済の発展及び都市環境の改善に寄与することが期待される(完成2年後(2017年)見込み:運行数260本/日・1方向,乗客輸送量610万人・キロメートル/日)。また,インドの経済・社会の発展を通じた我が国との二国間関係の強化が期待される。
インド政府要請書,これまでの国際協力銀行環境社会配慮ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/archives/jbic/index.html),その他国際協力機構より提出された資料,インド国別評価(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/hyouka/kunibetsu/indo.html)。
案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index/anken/zyoukyou.html),借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/index.html)及び事業事前評価表(http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html
)を参照。
なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。