広報・資料 報告書・資料

政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日:平成25年2月1日
評価責任者:国別開発協力第二課長 徳田修一

1 案件概要

(1)供与国名
 インド

(2)案件名
 貨物専用鉄道建設計画(フェーズ2)(第二期)

(3)目的・事業内容
 貨物専用鉄道建設計画は,インドにおいて急増する貨物輸送需要に対応するため,総延長約2,800キロメートルの貨物専用鉄道(西回廊(デリー・ムンバイ間)及び東回廊(デリー・コルカタ間))を建設する計画。このうち,我が国は,円借款による西回廊建設を支援することとしており,本計画は,西回廊(約1,500キロメートル)の一部区間(ダドリ・レワリ間及びバドーダラ・ムンバイ間:約550キロメートル)について,本体工事に係る円借款を供与するもの。

(ア)主要事業内容

  • 1)土木工事
  • 2)電気・機械,信号・通信工事
  • 3)車両調達
  • 4)コンサルティング・サービス

(イ)供与条件

供与限度額 金利 償還(うち据置)期間 調達条件
1,361.19億円 0.20% 40(10)年 日本タイド

(注)コンサルタント部分は金利0.01%を適用。

(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

(ア)EIA(環境影響評価)
 EIA報告書はインド国内法上作成が義務付けられていないが,2011年11月に作成済み。

(イ)約2,252ヘクタールの用地取得及び2,553世帯の住民移転を伴い,インドの国内手続きに沿って取得が進められる。

(ウ)外部要因リスク:特になし。

2 資金協力案件の評価

(1)必要性

(ア)開発ニーズ
 急激に増加する貨物需要及び逼迫する線路容量への対応として,大容量の貨物輸送システムの導入により,環境影響に十分配慮した輸送能力増強を図る必要がある。本計画は日印首脳間においても日印協力の旗艦プロジェクトとして強く認識されており,我が国は2009年10月にフェーズ1の第一期供与(エンジニアリング・サービス借款:26.06億円),2010年3月にフェーズ1の第二期供与(本体借款:902.62億円),2010年7月にフェーズ2の第一期供与(エンジニアリング・サービス借款:16.16億円)など支援を行ってきているところであり,本件支援を実施する意義は大きい。

(イ)我が国の基本政策との関係
 2006年6月に策定された「国別援助計画」においては,今後の対インドODAの重点目標として,(a)経済成長の促進(「経済成長を通じた貧困削減」を追求するためのインフラの整備等),(b)貧困・環境問題の改善及び(c)人材育成・交流拡大(強固な二国間関係の構築を念頭)を掲げている。本計画は,大容量の貨物輸送システムの導入という観点から,同国のインフラ整備に資する案件として上記(a)に資するものであり,我が国の基本政策とも合致する。

(2)効率性
 効率的な実施及び運営維持管理のためには,財務的に自立した事業実施体制の確立が重要との認識の下,特別目的事業体(SPV)を設立して事業実施に当たっており,完成後は同社が運営維持管理に当たることとしている。

(3)有効性
 本計画の実施により,増加する貨物輸送需要への対応を図り,もって輸送能力増強の実現と交通渋滞の緩和を通じた地域経済の発展及び都市環境の改善に寄与することが期待される(完成2年後(2020年)見込み:走行車両数164本/日・双方向,輸送量1,908.1百万トン・キロメートル/日 (本計画とフェーズ1計画の合計))。また,本邦技術活用条件(STEP)による円借款供与により,我が国の鉄道技術及び専門知識が活用される。さらに,インドの経済・社会の発展を通じた我が国との二国間関係の強化が期待される。

3 事前評価に用いた資料,有識者等の知見の活用

 インド政府要請書,これまでの国際協力銀行環境社会配慮ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/archives/jbic/index.html他のサイトへ),その他国際協力機構より提出された資料,インド国別評価(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/hyouka/kunibetsu/indo.html)。
 案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index/anken/zyoukyou.html),借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/index.html他のサイトへ)及び事業事前評価表(http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html他のサイトへ)を参照。
 なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。

このページのトップへ戻る
目次へ戻る