評価年月日:平成24年9月7日
評価責任者:国別開発協力第二課長 徳田修一
(1)供与国名
インド
(2)案件名
ラジャスタン州地方給水・フッ素症対策計画
(3)目的・事業内容
インド北西部のラジャスタン州ナゴール県において,表流水による上水道施設の新設及びフッ素症対策などを行うもの。
ア 主要事業内容
イ 供与条件
供与限度額 | 金利 | 償還(うち据置)期間 | 調達条件 |
---|---|---|---|
375.98億円 | 1.40% | 30(10)年 | 一般アンタイド |
(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点
ア EIA(環境影響評価)
影響を及ぼしやすいセクター・特性及び影響を受けやすい地域に該当せず,環境への望ましくない影響は重大でないと判断される。EIA報告書はインド国内法上作成が義務付けられていない。
イ 用地取得
州政府保有土地の実施機関への移譲は,現在手続き中である。なお,住民移転は伴わない。
ウ 外部要因リスク:特になし。
(1)必要性
ア 開発ニーズ
ラジャスタン州ナゴール県では,年間降水量の少なさから利用可能な表流水が限られており,地下水の過剰汲み上げ・枯渇など慢性的な水不足が生じている。さらに,同県の大部分の地下水は,WHOの飲料水基準を大幅に超える天然由来のフッ素を大量に含んでおり,地下水を利用せざるを得ない地域住民の間ではフッ素中毒症等の疾病が発生している。このため,地域住民の健康状態と生活環境改善のためには安全な水へのアクセス確保が重要であり,本計画のニーズは大きい。
イ 我が国の基本政策との関係
2006年6月に策定された「国別援助計画」においては,今後の対インドODAの重点目標として,(a)経済成長の促進(「経済成長を通じた貧困削減」を追求するためのインフラの整備等),(b)貧困・環境問題の改善及び(c)人材育成・交流拡大(強固な二国間関係の構築を念頭)を掲げている。本計画は,衛生環境の改善という観点から,上記(b)に資するものであり,我が国の基本政策とも合致する。
(2)効率性
上水道施設の効率的な運営・維持管理を図るために,本計画の実施機関は,対象の配水網施設整備を請負う業者及び現地NGOの協力を得,配水網施設の維持管理を担う市町村レベルの地方自治体に対して,運営・維持管理のための組織設立支援・技術移転を行う予定である。
(3)有効性
本計画の実施により,ラジャスタン州ナゴール県において安全かつ安定的な上水道サービスの提供を図り,もって同地域住民の生活環境の改善に寄与することが期待される(水道普及率:0%(2011年)→100%(完成2年後(2018年)見込み))。また,インドの経済・社会の発展を通じた我が国との二国間関係の強化が期待される。
要請書,国際協力機構環境社会配慮ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/index.html),その他国際協力機構より提出された資料,インド国別評価(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/hyouka/kunibetu/indo.html)。
案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index/anken/zyoukyou.html),借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/index.html)及び事業事前評価表(http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html
)を参照。
なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。