評価年月日:平成24年9月7日
評価責任者:国別開発協力第二課長 徳田修一
(1)供与国名
インド
(2)案件名
タミル・ナド州送電網整備計画
(3)目的・事業内容
インド南部タミル・ナド州チェンナイ市周辺をはじめとする州内全域において,送電線の新設・増強及び変電所の新設など送変電設備の整備を行うもの。
ア 主要事業内容
イ 供与条件
供与限度額 | 金利 | 償還(うち据置)期間 | 調達条件 |
---|---|---|---|
607.40億円 | 0.55% | 30(10)年 | 一般アンタイド |
(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点
ア EIA(環境影響評価)
影響を及ぼしやすいセクター・特性及び影響を受けやすい地域に該当せず,環境への望ましくない影響は重大でないと判断される。EIA報告書はインド国内法上作成が義務づけられていない。
イ 用地取得
本計画は,約35.2ヘクタールの用地取得を伴い,同国国内手続に沿って取得が進められている。なお,住民移転は伴わない。
ウ 外部要因リスク:特になし。
(1)必要性
ア 開発ニーズ
インド南部のタミル・ナド州では,近年州都チェンナイ市を中心に本邦企業の進出が増加しており,堅調な経済発展が見込まれているが,電力インフラの整備不足のために停電が頻発し,不安定な電力供給状況が続いている。このため,2017年までに新規電源開発を計画しており,新規発電容量の増加に伴い送電網の増強が必要とされているところ,本計画のニーズは大きい。
イ 我が国の基本政策との関係
2006年6月に策定された「国別援助計画」においては,今後の対インドODAの重点目標として,(a)経済成長の促進(「経済成長を通じた貧困削減」を追求するためのインフラの整備等),(b)貧困・環境問題の改善及び(c)人材育成・交流拡大(強固な二国間関係の構築を念頭)を掲げている。本計画は,電力の安定的供給の促進という観点から,同国のインフラ整備に資する案件として上記(a)に資するものであり,我が国の基本政策とも合致する。また,効率的な送電を通じた環境改善にも資しており,上記(b)に合致する側面も有している。
(2)効率性
実施機関にとって初めての導入となる400キロボルト地中送電線について,設計に関する技術支援や施工コンサルタントを入れることにより,設計の最適化による効率的な施工を担保する予定である。
(3)有効性
本計画の実施により,タミル・ナド州の電力の安定供給の達成を図り,もって同州及びインド南部地域の経済発展に寄与することが期待される(完成2年後(2019年)見込み:変電容量(メガ・ボルトアンペア)[400キロボルト]1,890(2010年)→5,955/[230キロボルト]15,290(2010年)→17,966)。また,インドの経済・社会の発展を通じた我が国との二国間関係の強化が期待される。
要請書,国際協力機構環境社会配慮ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/index.html),その他国際協力機構より提出された資料,インド国別評価(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/hyouka/kunibetu/indo.html)。
案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index/anken/zyoukyou.html),借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/index.html)及び事業事前評価表(http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html
)を参照。
なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。