評価年月日:平成25年2月19日
評価責任者:国別開発協力第二課長 徳田修一
(1)供与国名
バングラデシュ人民共和国
(2)案件名
カルナフリ上水道整備計画(フェーズ2)
(3)目的・事業内容
バングラデシュ第2の都市であるチッタゴン市において,上水道施設を整備し,安全かつ安定的な上水道サービスを提供することにより,同市民の生活環境の改善に貢献するもの。
ア 主要事業内容
イ 供与条件
供与限度額 | 金利 | 償還(うち据置)期間 | 調達条件 |
---|---|---|---|
348.47億円 | 0.01% | 40(10)年 | 一般アンタイド |
(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点
ア EIA(環境影響評価):2007年9月に環境森林省環境局により承認済み。
イ 用地取得及び住民移転:既存敷地内で実施するため用地取得及び住民移転は不要である。
ウ 外部要因リスク:特になし。
(1)必要性
ア 開発ニーズ
バングラデシュ国民の安全な水へのアクセスは,1990年代に改善したものの,2010年時点での達成率は81%にとどまる。また,同国では飲料水の9割を地下水に依存しているが,地下水の砒素汚染や,都市部での地下水位の低下が見られ,表流水を利用した都市部の上水道整備の推進が喫緊の課題となっている。チッタゴン市は人口約270万人(2011年)の商業都市であるが,人口増に上水道施設整備が追い付かず配水網の老朽化が進んでいる。2011年時点の需要470百万リットル/日(MLD)に対する供給量は219MLDであり,無収水率は約30%となっている。水需要の充足と効率的な水利用のため,給水能力の増強と老朽化が著しい配水網の改善が急務である。
イ 我が国の基本政策との関係
バングラデシュの人口の約3割が依然として貧困状態にあり,運輸等の基礎的な経済インフラが絶対的に不足していること等の開発ニーズを踏まえ,2012年6月に策定された「国別援助方針」においては,今後の対バングラデシュODAの重点目標として,(a)中所得国化に向けた,全国民が受益可能な経済成長の加速化,(b)社会脆弱性の克服を掲げている。本計画は,都市インフラとしての水道施設整備の観点から,上記(a)に合致した支援となっている。
(2)効率性
取水・浄水・送水・配水を一体の事業として実施することが重要との過去の類似案件の事後評価結果を踏まえ,本案件の効率性を確保するため,本計画では取水から送・配水管整備までを一つの事業として実施する。また,施設整備後の円滑な維持管理のため,漏水調査・補修を含む維持管理訓練等の実施により,実施機関の能力強化を図る。
(3)有効性
チッタゴン市の水需要の充足と効率的な水利用のため,給水能力の増強と老朽化が著しい配水網の改善を図る本計画の実施により,同市民の安全な水へのアクセス,生活環境が改善される(給水人口:約136万人(2012年)→約200万人(完成2年後(2023年)見込み))。更に,バングラデシュ経済・社会の発展を通じた我が国との二国間関係の強化が期待される。
バングラデシュ政府の要請書,バングラデシュ国別評価報告書(2009年度),国際協力銀行環境社会配慮ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/archives/jbic/index.html),その他国際協力機構より提出された資料。
案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index/anken/zyoukyou.html),借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/index.html)及び事業事前評価表(http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html
)を参照。
なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。