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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日 平成24年4月3日
評価責任者:国別開発協力第一課長 横山 正

1.案件名

(1)供与国名

バヌアツ共和国

(2)案件名

ビラ中央病院改善計画(本体工事)

(3)目的・事業内容

 本計画は,同国の最高次医療機関であるビラ中央病院の新外来棟建設と医療機材の整備を行うものである。本事業により,施設・機材の改善と外来と診療機能の集中を図り,同国の医療水準を向上させることを目的とする。供与限度額は13億9,900万円であり,新外来棟の建設を中心とし,内視鏡関連機材などの医療機材を供与する。

(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

以下の事項がバヌアツ共和国政府により実施される必要がある。

ア 本計画により建設された外来棟と,供与された医療機材に関して,適切な運営及び維持管理に必要な予算の確保,医療従事者等への十分な取り扱い説明の実施などにより,施設・機材が良好な状態で継続的に使用できるようにすること。

2.無償資金協力の必要性

(1)必要性

ア バヌアツにおける主要疾患はマラリア,結核等の感染症に加え,糖尿病,高血圧症等の非感染症が挙げられ,今後これらに対する医療需要の増加が見込まれているが,医療機材不足,医療人材不足等,取り組むべき課題が多い状態にある。

イ 本件協力対象であるビラ中央病院は,バヌアツ最大の人口を抱えるシェファ州の基幹病院であるとともに,国内の最高次医療機関である。しかし,1975年に建設されて以来,一度も改修が行われていないことから老朽化が進んでいる上,老朽化等により適切な機材が整っていない状態にある。また,外来・救急棟,手術棟,検査・放射線棟といったように施設が分散しており非効率である等の事情により,国内の最高次医療機関としての適切なサービスが提供できていない。同国の「保健セクター戦略(2010~2015)」では,「国民の健康状態の改善」を最終目標とし,そのために医療への「アクセス」,「質」,「効率性」の改善を図るとしており,ビラ中央病院が同国で専門的治療が可能である唯一の医療機関でもあることから,早急な施設・機材の改善が求められている。

(2)効率性

ア 施設の建設では,「既存施設の老朽化に伴い医療サービスや安全性の妨げとなり改善が必要となる施設」,「ビラ中央病院の三次医療サービスの向上に大いに寄与するもので費用対効果が高い施設」等の観点から,年間稼働日数や年間患者数等を踏まえ,現有人員を前提として,その範囲で有効活用できる規模の設計を行った。

イ また,将来の拡張性と各機能ゾーン(外来・診療ゾーン,病棟ゾーン等)の連続性が確保できるような設計とした。

ウ 医療機材の選定では,対象施設の機能に必要な最小限の機材を協力対象とし,施設計画と整合性がとれ,機材の共通化を考慮した機材品目・数量・仕様とした。また,原則として現在の医療従事者数,技術レベル及び予算で運営・維持管理が可能な機材計画をした。

(3)有効性

本件の実施により,以下のような成果が期待される。

ア 施設・機材の改善により,約8万2千人の一般外来患者が適切な環境下で医療サービスを受けられるようになるとともに,適切な環境下で約480件の国内病院から紹介・搬送される患者の受入れが可能になる。

イ 施設・機材の改善により,手術部門等の機能が強化され,手術件数が2,183件(2010年)から2,416件(2017年目標)に増加する。

ウ 新外来棟の整備により,外来と診療機能が集約され,医療サービスの効率性が向上することで,一般外来患者数や国内病院から紹介・搬送される患者の受入件数が増加する。

エ バヌアツは国際選挙・決議等で我が国の立場を支持する大洋州地域における重要なパートナーである。また,我が国は2009年5月の第5回太平洋・島サミットにおいて,「環境・気候変動対策」,「脆弱性の克服」,「人的交流の強化」の3つの柱を中心に支援を実施していくことを表明していることから,本件支援は同支援策の一環として,同国との二国間関係の維持・発展に寄与することが期待される。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)バヌアツ共和国政府からの要請書
(2)JICAの準備調査報告書

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