評価年月日 平成24年10月15日
評価責任者:国別開発協力第三課長 貴島善子
タンザニア連合共和国
ダルエスサラーム市交通機能向上計画
本計画は,タンザニア連合共和国の第一都市であるダルエスサラーム市内の中心部に位置し,同市内の主要幹線道路であるニエレレ道路とキルワ道路を結ぶゲレザニ道路(約1.3キロメートル)を二車線から四車線へ拡幅,整備するとともに,四車線の橋梁を整備するものである。タンザニア国内のみならず近隣内陸国にとっての物流の基点であるダルエスサラーム市の道路網及び道路状況の改善を通して,安全で円滑な市内交通を確保するとともに,人的移動・物流の活性化を通じ,タンザニア及び近隣内陸国の経済発展に寄与することを目的とする。供与限度額は11億800万円である。
以下の事項がタンザニア連合共和国政府により実施される必要がある。
ア 本計画により整備された道路及び橋梁の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。
イ 本計画開始前に,用地取得,住民移転を含む環境社会への適切な配慮及び本計画区域の障害物の除去等を行うこと。
ア タンザニア政府は,5ヵ年の国家開発計画である「成長と貧困削減のための国家戦略」において運輸・交通分野を重点分野として位置づけ,同分野の包括的な戦略文書である10ヵ年の投資計画「運輸・交通セクター投資計画」において道路分野を最大の投資分野として位置付けている。その中でも,都市交通の改善は優先事項として挙げられており,同政府は幹線道路の改修や公共交通機関の整備などに取り組んでいる。
イ 本件事業対象地の,タンザニア最大の都市であるダルエスサラーム市においては,人口の増加と経済活動の活発化にともない,自動車の登録台数が急激に増加している。同市から放射線状に延びる主要幹線道路については四車線化等が進められているが,本プロジェクトの対象区間であるゲレザニ道路は主要幹線道路を結ぶ重要な道路でありながら四車線化が進んでおらず,同市内でも慢性的に渋滞している。加えて同道路はダルエスサラーム港から内陸国へ続く国際幹線道路の一端を担っており,同道路の渋滞は同市内の円滑な交通のみならず内陸国も含めた物流の妨げとなっている。
ウ ダルエスサラーム市の経済は今後も成長が見込まれ,人口増加も急速なスピードで進んでいるため,自動車登録台数も大幅に増加し,渋滞の更なる悪化が懸念される。この問題を解決するため,都市交通の早急な改善が必要である。
ア 我が国が支援した開発計画調査「ダルエスサラーム市総合都市交通体系調査」において策定されたダルエスサラーム市の都市交通マスタープランでは,本道路の改修は2015年までに実施すべき優先度の高いプロジェクトとして挙げられている。
イ また,同市の道路網整備に対しては,世界銀行,EU等も支援しており,これらの支援とあわせ,渋滞緩和に向けた支援を効果的に実施することとする。
本件の実施により,以下のような成果が期待される。
ア 本件計画対象区間の通勤・通学のピーク時における平均走行速度が,0.7 キロメートル/時から大幅に改善される。
イ 移動時間の短縮により,輸送コストが低減し,ダルエスサラーム市における経済発展及び投資促進に寄与する。
ウ ダルエスサラーム市全体の交通円滑化に伴い,ダルエスサラーム港の国際港としての機能及び東部アフリカの経済回廊の強化に資する。
(1)タンザニア連合共和国政府からの要請書
(2)JICAの協力準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)