評価年月日:平成24年3月8日
評価責任者:国別開発協力第三課長 堤 尚広
セネガル共和国
「ルーガ州及びカオラック州中学校建設計画」
本計画は,人口増加率の高いルーガ州及びカオラック州の中学校20校238教室の建設,教育機材の供与及び学校運営維持管理等に関する技術指導を行うものである。供与限度額は,11.64億円。
セネガルは,西アフリカの政治的・経済的中心国の一つであり,平和外交を推進する等,西アフリカを中心とするアフリカ全体の平和と安定にも積極的に貢献している。同国への支援は二国間の友好関係を深化させるだけでなく,西アフリカ全体の平和と安定に貢献するものである。
(1)本案件は,中学校の教室等の整備を主たる内容としており,特段の環境社会面の影響は想定されないところ,JICA環境社会配慮ガイドラインにおいてもカテゴリーC(環境社会への影響が最小限)に分類される。
(2)以下の事項がセネガル政府により実施される必要がある。
(ア)本計画により建設される教室等の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。
(イ)活動に必要な人的手当及び予算措置を行うこと。
(1)セネガル政府は,2000年に「教育・訓練10ヶ年計画」を策定し,2011年までに1)中等教育就学率を47%に,2)初等教育から中等教育への進学率を68%に改善するという目標を掲げている。同国では,右目標の実現及び教育環境改善に向けて,中学校の教室の増加に取り組んできており,中等教育就学率は31.9%(2005年)から45.0%(2010年)へと年々改善されている。
(2)しかしながら,年々増加する中学校入学希望者に対し,施設整備が追いつかず,1教室当たりの基準生徒数45人に対し,現状では1教室を平均106人の生徒が使用する状況となっている(全国平均)。そのため,教室は過密状態であり,雨漏りのする仮設教室の使用や,倒壊の危険がある老朽化した教室も使用せざるを得ない状況となっている。このような状況は,生徒の学力低下のみならず,中途退学の要因にもなっており,これら急激な生徒数の増加に対応した教育環境改善は,早急に対応が必要な課題となっている。
(3)このような状況に対し,セネガル政府は,人口増加率の高いルーガ州及びカオラック州の中学校整備に必要な資金につき,我が国に無償資金協力を要請したものである。本計画は,我が国が第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)で表明した小中学校1,000校5,500教室の建設支援及びミレニアム開発目標(MDGs)の達成に資することが期待され,本件実施の意義は大きい。
(1)平成18年度に実施した対セネガル・コミュニティ開発支援無償「小中学校建設計画」をふまえ,対象地域,施設規模及び機材供与の範囲を決定し,事業の効率的・効果的実施に努めた。
(2)他ドナー(フランス開発庁)が実施した教室建設事業(面積,仕様,平米単価等)と本事業を比較した上で,適切な設計・仕様を決定するとともに,コスト削減に努めた。
(1)対象中学校20校における教室数が8教室から246教室に増加し,教室内の過密状況等が解消された適切な教育環境で学習できる生徒が,360名から11,070名に増加する。
(2)教育環境の改善により,対象地域(ルーガ州及びカオラック州)の就学率の上昇及び中途退学率の改善に寄与することが期待される。
(1)セネガル政府からの要請書
(2)JICA事業化調査報告書(JICAを通じて入手可能)