評価年月日 平成24年11月26日
評価責任者:国別開発協力第三課長 貴島 善子
南スーダン共和国
「ナイル架橋建設計画」
本計画は,南スーダンの首都ジュバからウガンダにつながる国際回廊の途中,ナイル川に架かる老朽化した既存橋の上流に新たな橋梁を建設するもの。大型車両の円滑な通行を可能とすることにより,物流の円滑化が実現し,同国内の経済発展に寄与することを目的としている。供与限度額は81.34億円。
(1)事業開始後の大気汚染については,散水等の粉塵対策を行う。また,過積載の防止,散水や土砂運搬時の荷台カバーの設置,適切な建機の使用等による対策を行う。騒音については必要に応じて遮音シートの設置等を行う。
(2)本計画は約80世帯の非自発的住民移転を伴うため,国内法及び南スーダン道路橋梁省が作成した住民移転計画に沿って用地取得が進められる予定である。
(3)以下の事項が,南スーダン政府により実施される必要がある。
ア 適切な住民移転による用地確保
イ 整備された橋梁の維持管理
ウ 上記に要する人的手当及び予算措置
(1)2011年7月に南スーダン共和国がスーダン共和国から独立したが,その首都であるジュバ市は急速に発展しており,人口の急激な増加等に伴い,内戦により荒廃もしくは老朽化した都市インフラの整備の必要性が高まっている。
(2)内陸国である南スーダンは,物資の多くを輸入に頼っており,国際輸送路の確保が同国復興上の重要課題となっている。ジュバ市と国際流通網を繋ぐ経済回廊のひとつであるジュバ-ニムレ道路(ケニアのモンバサ港と接続)は,米国の支援により舗装整備が進められているが,ナイル川を渡河する位置に架かる既存橋(仮設橋)は耐久性が低く,大型車両が通行する際には落橋の危険性があるため,大型車量は1車線のみの利用による通行を余儀なくされている。また,同橋は,直接市内中心部へと接続しているため,市内交通の混雑悪化の大きな要因となっている。
(3)今後,ジュバ市の経済発展に伴い国際回廊を通じた物流が更に活発化することが想定されることから,大型車両による貨物輸送の安全性を高め,かつ,市内交通を分散させ混雑を解消することにより,物流の円滑化を図る必要がある。
(4)このため,南スーダン政府は,既存橋の上流に新ナイル川橋を架橋し,市内中心部をバイパスする道路に接続することにより,国際輸送の安全性及び効率性の向上を通じて輸送量の増加・円滑化を図る計画を策定し,同計画の実施に必要な資金につき,我が国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
(1)本計画では,整備後,仮設道路の有効活用により南スーダンが自ら整備すべき取付け道路整備を支援することにより,効率的な効果の発現を図る予定。
(2)また,本計画とあわせて,先方実施機関の道路維持管理能力向上を目的とした技術協力プロジェクトを実施することにより,本計画の効率化を図る予定。
(1)ナイル川を渡河する際の時間が短縮され(横断時の速度が20キロメートル/時から60キロメートル/時に増大),かつ,大型車両の通行に対する安全性が向上することにより,国際物流が円滑化,活性化する。
(2)ケニアなど周辺国からの物資輸送の安全性,効率性が向上し,輸送コストの低減に資することから,南スーダンにおける物価上昇の緩和・経済活動の活性化に貢献する。
(3)国際物流がバイパス道路から迂回,分散して市内中心部へ運送されることが可能となることから,ジュバ市内の物流効率化,交通渋滞の緩和に資する。
(1)南スーダン政府からの要請書
(2)JICA協力準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)