1．案件名

1－1．供与国名

　南スーダン共和国

1－2．案件名

　「ジュバ河川港拡充計画」

1－3．目的・事業内容

　本計画は，南スーダンの首都ジュバにおける河川交通の輸送能力を高め，効率的な物資輸送が可能となることにより経済活動の活性化に寄与することを目的とし，ナイル川河岸に設置された河川港の拡充整備として，岸壁整備，貨物操作場拡張，荷下ろし設備整備等を行うもの。供与限度額は26.07億円。

1－4．環境社会配慮，外部要因リスクなど留意すべき点

（1）工事中の大気質，騒音，廃棄物などの環境影響については，排出ガス対策型，低騒音型の建機を利用すること，処理場での適切な廃棄などの対策を行う予定。

（2）国立公園などの影響を受けやすい地域又はその周辺に該当しないが，果樹の伐採を伴うため，実施機関による代替植林を行う予定。

（3）以下の事項が，南スーダン政府により実施される必要がある。

　ア　施設の適切な維持管理及び港湾運営

　イ　上記に要する人的手当及び予算措置

2．無償資金協力の必要性

2－1．必要性

（1）2011年7月に南スーダン共和国がスーダン共和国から独立したが，その首都であるジュバ市は急速に発展し，人口の急激な増加等に伴い，内戦により荒廃し老朽化した都市インフラの整備が復興・開発に向けた緊急の課題となっている。

（2）内陸に位置し，物資のほとんどを輸入に頼る南スーダンにとっては，スーダン共和国政府の首都ハルツームと南スーダンの中心都市ジュバを結ぶ幹線道路は未舗装のままであるため，道路輸送能力は限定的であり，スーダン共和国の拠点港であるコスティ港とジュバを結ぶ河川交通が復興において重要な役割を果たしている。ジュバの復興に伴い，ジュバ河川港の取扱貨物量が急激に増加している中，南スーダンの経済活動を支える物流の拠点に適した機能と安全性を備えた同港の改修が必要となっている。

（3）一方，内戦中に破壊されたジュバ河川港では，貨物船の直接接岸も限定され，作業の安全性の上でも問題が生じており，また，貨物積卸しの機械化も導入できないため，非効率となっている。このような状況は，河川交通の輸送能力を高める上で大きな障害となっており，ジュバにおける物価の高止まりにも影響している。

（4）このため，スーダン政府は，ジュバ河川港の拡張整備により，港湾作業の安全性及び効率性の向上を通じて輸送量の増加・円滑化を図る計画を策定し，同計画の実施に必要な資金につき，我が国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。

2－2．効率性

（1）本計画では，先行して整備された桟橋を組み込む形で新たな桟橋を整備することにより，効率性の向上を図っている。

（2）また，本計画とあわせて，港湾組合の維持管理能力及び港湾運営能力の向上を目的とした技術協力プロジェクトを実施することにより，本計画の効率化を図る予定。

2－3．有効性

（1）本計画によりジュバ河川港が整備され，同港における作業効率が向上することにより，内陸水運貨物の荷揚・荷積時間が短縮され，増大する貨物に対する輸送能力が向上する。また，操船・荷役作業等の安全性が向上する。

（2）効率的な物流手段が整備されることにより，物資の輸送コストが低減し，同国における物価上昇の緩和及び経済活動の活性化に貢献する。

3．事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

（1）スーダン政府からの要請書

（2）JICA事業化調査報告書（JICAを通じて入手可能）