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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日 平成24年4月17日
評価責任者:国別開発協力第二課長 德田修一

1.案件名

1-1.供与国名

 ネパール連邦民主共和国

1-2.案件名

 シンズリ道路建設計画(第三工区)

1-3.目的・事業内容

 本計画は,ネパール中部に位置する首都カトマンズから南部テライ平原にかかる地域において建設中のシンズリ道路の最終工区である第三工区(36.8キロメートル)のうち未着手区間18.9キロメートル(バス停11箇所,コーズウェイ4箇所,待避所88箇所,横断排水設備(129箇所)等の敷設を含む)の整備を行うもの。
 首都カトマンズとテライ地域を結ぶ幹線道路を完工させることにより,ネパール南部・東部地域と首都間との人流・物流を活性化し,もって同国の経済成長に資することを目的とするもの。
 供与限度額は40億9,600万円。

1-4.環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

 以下の事項がネパール連邦民主共和国政府により実施される必要がある。

(1)本計画により整備した道路の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。

(2)活動に必要な人的手当及び予算措置を行うこと。

2.無償資金協力の必要性

2-1.必要性

(1)ネパールの主要産業は,農業を中心とする第1次産業であり,GDPの約4割,就業人口の約8割を占める。主要農業産地である東部テライ地域から首都カトマンズへの現在の主要ルートは大きな迂回路であり,また,雨期には冠水等による交通障害が多発していることから,同ルートの高い輸送コストや不安定な物流の改善が大きな課題となっている。

(2)このためネパール政府は,東部テライ地域~首都カトマンズの区間をシンズリ県を経由して結ぶ「シンズリ道路」の建設に関する調査を我が国に要請し,我が国は1986年~1987年にかけて開発調査を実施した。

(3)この調査結果に基づき,ネパール政府はカトマンズへの物資の安定供給・確保,テライ地域の開発促進,沿線地域の社会・経済活動の活性化による地域住民の生活環境向上を目的とした「シンズリ道路建設計画」を策定し,同計画の実施に必要な資金につき,我が国政府に対し無償資金協力を要請した。

(4)我が国は1996年から同道路の建設を支援しており,今回の支援による第三工区の工事完了により総延長160キロメートルの全線が開通する。

2-2.効率性

 これまでに我が国が実施してきた第一,第二,第四工区の整備から得られた知見を活かし,可能な限り斜面の切り土を低減できるように道路線形を選定するなどにより工事量を圧縮し,コスト縮減を図る。

2-3.有効性

(1)本件の実施により,以下のような成果が期待される。
 首都カトマンズから南部穀倉地帯の東部テライ地域までの距離が144キロメートル,走行時間が約3時間短縮される。
 右記の既存道路の寸断による南部穀倉地帯から首都圏への物流阻害リスクが軽減される。
 農村と首都圏の市場が繋がり,沿線の換金作物の栽培が促進され,経済活動が活発化する。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)ネパール連邦民主共和国政府からの要請書

(2)JICAの基本設計調査報告書(JICAを通じて入手可能)

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