評価年月日 平成25年2月22日
評価責任者:国別開発協力第一課長 横山正
ミャンマー連邦共和国
「ヤンゴン市フェリー整備計画」
ヤンゴン市ヤンゴン河渡河のための新規のフェリー3隻を整備することにより,老朽化した既存船の代替による安全性向上を図り,ヤンゴンの市内交通の改善に資するもの。供与限度額は,11.68億円。
案件実施に際して,ミャンマー側負担事項が実施され,案件完了後もミャンマー側により適切な維持管理が行われる必要がある。
(1)ヤンゴン市中心部は三方を川に囲まれており,ヤンゴン中心部とヤンゴン河を挟んだダラー地区を結ぶフェリー航路は,平均約32,000人/日以上が利用している。特に朝,夕のピーク時には,定員400~700名の既存船に対して1000人以上の乗客が殺到し,定員超過が常態化している。現在就航しているフェリー(4隻)は老朽化が進み,いずれも船体の傷みが激しく,破口浸水も度々発生し,年に3ヶ月間のドック入りが必要となっており,公共輸送を担うフェリーとしては危険な上,安定した運航が困難な状況となっている。本航路は流れも速く,近くにヤンゴン港があり大型船も多いところ,一度事故が起これば大きな被害が発生する可能性が高い。
(2)ダラー地区は一般の勤労者や低所得者層が多く居住する地域であり,これら住民も多く利用する公共交通機関であるフェリーの整備は,輸送の安全性や信頼性を向上させ,ヤンゴン市民の生活環境の改善に資するとともに,経済発展を続けるヤンゴンの市内交通網の整備の一環として,非常に重要な課題となっている。
調査を通じ,ミャンマー側の運営・維持管理体制等に適した供与内容とした。具体的には,定員超過を避けるため1,200名規模の乗船定員を確保しつつ,船体の大型化を避け,無駄のない規模とした。また,ミャンマー側の維持管理コストを抑えるべく,運行経済性,耐久性に優れ,保守管理がしやすい船舶を供与することとした。
本計画の実施により,以下のような成果が期待される。
(1)安全な船体及び安全設備の整備により,渡河交通の安全性が向上するとともに,故障による欠航が減少し,定時運行の信頼性が増加する。
(2)本計画により,定員超過運航の割合が,10.6%(2011年)から0%(2017年目標値)に低減する。1隻あたりの稼働月数が年9.4ヶ月から11.5ヶ月に増加する。年間の整備・修理費が,21.4百万チャット(2011年)から4.3百万チャット(2017年目標値)に低減する。(10チャット=約1円)
(1)JICAの概略設計概要資料
(2)ミャンマー政府の要請書