評価年月日 平成24年11月15日
評価責任者:国別開発協力第三課長 貴島善子
モザンビーク共和国
「ナカラ港緊急改修計画」
本計画は,モザンビークの主要港の一つであるナカラ港において,岸壁整備,エプロン舗装,コンテナヤードの整備及び消火設備の設置等を行うことにより,同港の安全性及び効率性を向上させるもの。供与額:26.66億円
(1)以下の事項が,モザンビーク政府により実施される必要がある。
ア 本計画により改修された港湾施設を適切かつ継続的に維持管理すること。
イ 活動に必要な人的手当及び予算措置を行うこと。
(1)モザンビークの主要商業港はマプト,ベイラ,ナカラの三港である。ナカラ港は現在の取扱貨物量は少ないが,水深が深く,浚渫を必要としないアフリカ南東部有数の天然の良港である。ナカラ港から内陸に続くナカラ回廊においては,天然資源の開発が進められており,加えて,マラウイ及びザンビアとの間の輸出入貨物の増加,現在進められている農業開発事業を通じた農産品の増加など,今後,ナカラ港の取扱貨物量は劇的に増加するものと見込まれる。
(2)モザンビーク政府は,2009年に「運輸交通システム統合的開発戦略」を策定し,ナカラ港の機能近代化を政府の優先事項として掲げている。
(3)ナカラ港は潜在性が高い一方で,完成から約40年が経過しており,施設及び機材の老朽化が著しく,荷役効率・運営維持管理能力,安全性の観点から多くの課題を抱えている。
(4)ナカラ港の全体の開発の方向性を示すため,モザンビーク政府は同港の開発調査を我が国に要請し,JICAは2011年に「ナカラ港開発調査報告書」を取り纏めた。同報告書では2020年までの港湾改修計画として,コンテナ専用埠頭の新規建設(港湾の埋立拡張)を主とする港湾の機能拡充計画が提案され,今後のナカラ港の改修方針として,モザンビーク政府により承認された。
(5)モザンビーク政府は,損傷が著しく,一刻も早いリハビリが必要な港湾の緊急改修工事に関して,我が国に無償資金協力による支援を要請した。
(6)我が国は,対モザンビーク援助の中で,ナカラ港から内陸に伸びるナカラ回廊の開発(インフラ整備と農業開発を融合した総合地域開発)を最重要事項としている。本件は,物流の拠点となるナカラ港の改修等を行うものであり,我が国の対モザンビーク支援の最重要プログラムであるナカラ回廊開発への支援の中核をなすものである。
(7)さらに,我が国は,TICAD IVにおいて,「成長の加速化」に資するインフラ整備に対して支援することを表明していることから,本件は同公約の達成にも資するものである。
(1)ナカラ港の設備の中でも,老朽化が顕著で損傷が深刻な部分の岸壁整備,エプロン舗装及びコンテナヤードの整備等港湾改修の中で,際舞えて緊急性の高い部分のみ無償資金協力の対象とした。
(1)年間コンテナ貨物取扱量が89,714TEU(2011年)から161,590TEU(2017年)に増加する。
(2)コンテナ貨物の取扱いに関し,安全性及び効率性の改善により,港湾施設としての機能が回復・向上する。
(3)同港を拠点とした物流の促進に寄与する。また,円滑な物資輸送の確保が可能となる。
(1)モザンビーク政府からの要請書
(2)JICA協力準備調査報告書