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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日 平成24年11月26日
評価責任者:国別開発協力第三課長 貴島善子

1.案件名

1-1.供与国名

 リベリア共和国

1-2.案件名

 「モンロビア市電力復旧計画」

1-3.目的・事業内容

 リベリアの首都モンロビア市に位置するブッシュロッド・アイランド発電所における発電能力を復旧し,同市内における電力供給率の向上による市民生活の改善及び経済社会活動の活性化を目的とし,同発電所に重油焚きディーゼル発電設備を設置するとともに,建て屋の建設等を行うもの。供与限度額は20.37億円。

1-4.環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

 以下の事項が,リベリア政府もしくはリベリア電力公社により実施される必要がある。

(1)本計画により建設される発電設備への要員配置や教育・訓練を計画的に実施し,同発電所の運転が円滑に行われるよう配慮すること。

(2)維持管理のために必要となるスペアパーツ,消耗品類を遅滞なく調達・補充し,定期的なメンテナンスを確実に実施すること。

(3)予防保全の導入・実施により,設備火災などの重大事故を未然に防止すること。

(4)発電設備の維持管理費を十分確保すること。

2.無償資金協力の必要性

2-1.必要性

(1)リベリアは,14年間にわたる内戦の影響により,首都モンロビアの発電及び配電施設が破壊され,一時電力供給が完全に停止した状態にあった。内戦後,数カ所の発電施設が臨時・応急的に整備されたが,国内避難民の定住化などによりモンロビア市の人口は急増し,これに伴って通常の市民生活もしくは学校,病院等の公共施設において必要とされる電力量が急激に増加したことから,同市の電力事情は依然として劣悪な状況にある。

(2)モンロビア市の電力供給を担う基幹発電所であるブッシュロッド発電所では,内戦により,発電機を含め殆どの施設が破壊され,現在の発電能力はわずか15メガワットしかない。そのため,同市の電力普及率はわずか4.4%となっており,市民生活に深刻な影響を与えている。加えて,不安定な電力供給は同国の経済発展に対する重大な阻害要因となっている。

(3)このため,リベリア政府は,ブッシュロッド発電所の発電能力強化による電力普及率の向上及び経済社会開発の推進を目的とした同発電所における発電設備の追加整備を計画し,同計画の実施に必要な資金につき,我が国政府に対し無償資金協力を要請してきた。

(4)なお,リベリア電力公社の策定した「電力マスタープラン」においては,2015年までに電力普及率を14%まで向上させることを目標としており,本計画は当該目標の達成に寄与するものである。

(5)我が国はTICAD IVにおいて,経済開発を後押しするためのインフラ整備について積極的に支援することを表明しており,また,近年沿岸域での油田開発が進む同国との二国間関係強化の観点からも本件実施の意義は大きい。

2-2.効率性

(1)同発電所内で事業を行っている世界銀行,ノルウェーなど他のドナーと協調し,一部施設を共有することなどにより,効率性の向上を図った。

2-3.有効性

(1)本計画により,モンロビア市における電力供給能力が向上し,電力普及率の向上及び電力の安定供給を通じて,住民の生活環境の改善,産業の振興,学校や医療機関等の公共サービスの改善に貢献する。

(2)本計画に加え,他ドナーによる支援との相乗効果を得ることにより,単位発電力量あたりの燃料費が約75%縮減される。これにより,電力料金の低減が期待されることから,市民生活における諸経費の削減を通じて住民の貧困削減に寄与する。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)リベリア政府からの要請書

(2)JICA事業化調査報告書(JICAを通じて入手可能)

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