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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日 平成24年5月15日
評価責任者:国別開発協力第三課長 堤尚広

1.案件名

(1)供与国名

 ケニア共和国

(2)案件名

 ウゴング道路拡幅計画

(3)目的・事業内容

 本計画は,ケニア共和国の首都ナイロビ市内の中心部に位置するウゴング道路のアダムスアーケード交差点からケニヤッタ道路との交差点までの区間(4.69キロメートル)を2車線から4車線へ拡幅,整備するものである。物流の中心地であるナイロビ首都圏の道路網及び道路状況の改善を通して,安全で円滑な市内交通を確保し,ケニアの経済発展に寄与することを目的とする。供与限度額は15億6,600万円である。

(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

 以下の事項がケニア共和国政府により実施される必要がある。

ア 本計画により整備された道路の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。

イ 本計画開始前に,用地取得,被影響住民への対応を含む環境社会配慮への適切な対応及び本計画区域の障害物の除去等を行うこと。

2.無償資金協力の必要性

(1)必要性

ア ケニア政府は,2008年に長期開発計画である「Vision2030」を策定し,生活水準の向上,国際競争力の強化及び安定的な経済成長の確保を2030年までに達成することを目標としている。同計画において,インフラ開発が各政策目標を支える基盤として位置づけられており,輸送の大部分を占める道路分野に関しては,道路整備,都市部の渋滞対策,過積載車両の増加への対策等を含む全般的な整備に取り組んでいる。

イ 本件事業対象地の,ケニア最大の都市かつ首都であるナイロビ市においては,国際幹線道路が市内中央部を縦貫する一方,市内環状道路網が未整備であるなど道路網の非効率的な配置,人口の急増などにより,交通渋滞が深刻化しており,渋滞の解消,安全な交通の確保が急務となっている。

ウ また,ナイロビ市近郊の労働者は渋滞による乗合バス追加料金の負担を強いられ,特に低所得者階層の多くは公共交通の運賃上昇により,徒歩や自転車等で移動を行わざるを得ない状況である。

エ 今後,ナイロビ市の人口は,現在の約300万人から2025年には約430万人へ増加するものと予測されており,交通渋滞も含め,生活環境の悪化が懸念される。本渋滞問題を解決するため,市内道路網の拡幅・整備が求められている。

(2)効率性

ア 我が国が支援した開発調査「ナイロビ都市交通網整備計画調査」において策定されたナイロビ市都市交通マスタープランにより,交通需要予測に基づいた効率的な道路網の整備の一部として計画されている。

イ また,同市の道路網整備に対して,世界銀行,EU,アフリカ開発銀行,中国等も支援しており,これらの支援とあわせ,渋滞緩和に向けた支援を効果的に実施するものとする。

(3)有効性

 本件の実施により,以下のような成果が期待される。

ア 本件計画対象区間の通行時間が20分程度短縮される。

イ 本件計画対象区間の朝・夕ピーク時の平均走行速度が,時速10キロメートルから時速約30キロメートルに改善される。

ウ 渋滞が解消されることにより,渋滞による乗合バス追加料金が不要となることから,沿線に居住する貧困層の生活環境向上に資する。

エ 歩道・街灯が整備されることにより,歩行者・自転車利用者の安全で快適な通行が可能となる。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)ケニア共和国政府からの要請書

(2)JICAの基本設計調査報告書(JICAを通じて入手可能)

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