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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日 平成24年4月24日
評価責任者:国別開発協力第三課長 堤尚広

1.案件名

(1)供与国名

 コンゴ民主共和国

(2)案件名

 キンシャサ特別州国立職業訓練校整備計画

(3)目的・事業内容

 本計画は,コンゴ民主共和国の首都であるキンシャサにおいて,職業訓練のパイロット校であるキンシャサ特別州国立職業訓練校の施設及び機材の整備を行うものである。本事業では,高い失業率が貧困や治安悪化の一要因となっている同国において,職業訓練施設を整備して高い技術を備えた多くの人材を輩出し,それにより失業率の低減を図ることを目的とする。供与限度額は18億2,900万円であり,職業訓練校の建物を建設するとともに,職業訓練に必要な機材の供与を行う。

(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

 以下の事項がケニア共和国政府により実施される必要がある。

ア 本計画開始前に,建設予定地における既存施設の解体・補修工事及び既存機材の撤去,敷地整備,並びに建設に係る各種申請手続を遺漏なく行うこと。

イ 本計画にあわせ,電話・電気・給水設備等の引き込み工事を行うこと。

ウ 本計画により建設された建物や供与された機材の維持管理や光熱費の負担等,施設の運営を適切かつ継続的に実施すること。

2.無償資金協力の必要性

(1)必要性

ア コンゴ民主共和国においては,長年の内戦の影響により,失業率は8.9%,不完全労働者が81.7%にのぼり,特に若者の失業率は約30%と極めて高い水準にある。これは,人口増加率の高い都市部における治安悪化の一要因にもなっている。また,東部地域では,紛争によって教育の機会を奪われた国内避難民や除隊兵士が多く,職業訓練等を通した社会復帰支援が「平和の定着」の観点からも重要な課題となっている。これらの現状を踏まえ,同国政府は2011年10月末に発表された第二次貧困削減戦略文書(PRSP2)においても,4つの柱の一つに雇用促進を挙げ,2015年までに100万人の正規雇用を創出することを目標に掲げている。

イ 同国の国立職業訓練校は,近年,機材の老朽化,施設の収容能力の限界,指導員の高齢化等により,職業訓練の質の低下や訓練ニーズに対する対応能力不足等が問題となっている。そのため,同国政府は,全国にある職業訓練校の中でパイロット校と位置づけられているキンシャサ校において,新たな職業訓練施設の建設及び職業訓練機材の整備等について計画し,その実施に必要な資金について,我が国政府へ無償資金協力を要請してきたものである。

(2)効率性

ア 本計画では,当該職業訓練校が適切な人材育成のためのパイロット校として機能するために必要最小限の機材を調達するものとし,高額な維持管理費用を要する機材や費用対効果が低い機材等は計画の対象外とした。

(3)有効性

 本件の実施により,以下のような成果が期待される。

ア 1クラス30名とした適切な職業訓練施設及び機材の整備により,質の高い職業訓練を受けた訓練生を,年間4,380名輩出することが可能となる。

イ 機材不足等のため休講中であった7コースの再開により,従来よりも多様な人材を輩出することが可能となる。

ウ 訓練教材の充実化,多目的室を利用した国立職業訓練校の指導員研修等により,全国の各国立職業訓練校における職業訓練の質の向上に寄与する。

エ 我が国は,第四回アフリカ開発会議(TICAD IV)において,アフリカにおける技術教育・職業訓練を通じた人材の育成促進,民間セクター開発を掲げており,本件はTICADプロセスの取組等に貢献するものである。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)コンゴ民主共和国政府からの要請書

(2)JICAの基本設計調査報告書(JICAを通じて入手可能)

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