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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日 平成24年3月8日
評価責任者:国別開発協力第一課長 横山 正

1.案件名

1-1.供与国名

 カンボジア王国

1-2.案件名

 「洪水対策支援計画」

1-3.目的・事業内容

 2011年の洪水によって影響を受けたコンポンチュナン市内の道路(国道5号線及び市内主要道路)・排水施設及び国道11号線の橋梁の復旧・改善を行い,洪水による被害軽減と社会経済活動の停滞回避に寄与することを目的とするものであり,供与限度額は15.10億円である。

1-4.環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

 工事期間中の周辺住民,一般交通及び工事従事者に関する安全確保と影響の軽減に留意する必要がある。なお,道路工事に伴う住民移転は発生しない見込み。

2.無償資金協力の必要性

2-1.必要性

(1)2011年9月上旬からの集中豪雨により各地で洪水が発生し,家屋の損壊,農地の水没などにより,これまでに死者250人超,被災者約150万人,稲作地の約17%が被害を受けたとの報道がなされる等,甚大な被害が発生。

(2)これに対し,我が国は2,500万円相当の緊急援助物資(浄水器,ポリタンク等)を供与するとともに,被害状況調査のためのASEAN派遣アセスメントチームにJICA専門家1名を派遣した。また,農林水産省は「東南アジア諸国連合及び協力3か国における緊急事態のための米の備蓄制度に関する協定(APTERR)」の枠組で5万ドルを支出し,カンボジア,タイの被災者に米穀等の緊急支援を実施した。

(3)しかしながら,今次の被害総額は現時点で521百万ドルと見積もられており,この甚大な被害からの復旧,復興の取組みは今後も継続して進めていく必要があるところ,日本を始めとする各国,各機関に支援の要請がなされている。

2-2.効率性

(1)道路排水施設を整備することで雨水排水能力を増加させ,洪水被害の回避,道路維持管理費用の低減を図る。

(2)国道11号線の橋梁改修にあたり,国道11号線上の8橋を日本が,5橋をADBが架け替える計画とし,連携した整備事業とする。

(3)プロジェクトに必要な建設資材及び建設機械は,日本からの調達が必要な建設機械等の一部を除き,可能な限り現地または隣国からの調達とする。

(4)別途実施中の技術協力プロジェクト「建設の品質管理強化プロジェクト」において道路・橋梁維持管理事業の品質管理技術につき,また「国道橋梁の改善調査プロジェクト」においては橋梁の調査・点検技術につき能力強化を図っており,本技術協力プロジェクトとの連携により,道路の維持管理が効率的になされることが期待される。

2-3.有効性

(1)南部経済回廊である国道5号線の改修,及び国道1号線,7号線,8号線を南北に結ぶ国道11号線の改修により,同国及びメコン地域の人流・物流の向上に資することが期待される。

(2)国道11号線の橋梁改修においては,仮橋,老朽橋を永久橋に架け替えることで,荷重制限の撤廃,通水断面の増加,洪水発生時における幹線輸送ルートの確保等が期待される。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)カンボジア王国政府からの要請書

(2)JICAの準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)

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