評価年月日 平成24年2月17日
評価責任者:国別開発協力第三課長 堤 尚広
ブルキナファソ
「保健社会向上センター建設計画」
本計画は,基礎的医療サービスを提供する保健社会向上センター(CSPS)39か所を整備することを通じ,住民に対する基礎医療サービスを普及して保健・医療環境の改善を図るもの。また,併せて本計画により建設されるCSPSの適切な運営を確保するため,診察台など診療用資機材一式の供与及びCSPSの運営委員会の組織化と研修を行う技術支援を実施する。供与額は,14.01億円。
(1)本案件は,CSPSの建設を主たる内容としており,特段の環境社会影響は想定されないところ,JICA環境社会配慮ガイドラインにおいてもカテゴリーC(環境社会への影響が最小限)に分類される。
(2)以下の事項が,ブルキナファソ政府により実施される必要がある。
(ア)本計画により建設されるCSPSの維持管理を適切かつ継続的に実施すること。
(イ)活動に必要な人的手当及び予算措置を行うこと。
(1)ブルキナファソは,「成長加速と持続発展のための戦略(2011年~2015年)」において,保健・教育・水供給など基本的社会サービスの普及を主要戦略として位置付けている。
(2)同戦略を踏まえた国家保健開発計画(Plan National de Développement Sanitaires, PNDS 2011年~2020年)では,主要戦略として8項目を掲げているが,「保健サービスの改善」,「保健サービスインフラの改善」及び「健康増進と疾病対策」の3項目は,特に基礎的保健サービスに係る内容となっており,本案件はPNDSとの整合性が高い内容となっている。
(3)本計画の中で,「保健サービスの改善」の具体的目標として,各保健行政区におけるCSPS1か所あたりの診療圏面積を便宜的に円とした場合の半径(以下「RMAT」という。)を指標とし,その全国平均値を7.49キロメートル(2009年)から5キロメートル(2020年)へ減少することとしている。本件実施対象地である10の保健行政区におけるRMATの平均は,全国平均を上回る9.16キロメートル(最大15.6キロメートル)となっており,保健社会向上センター整備の必要性が高い。
(4)なお,我が国の対ブルキナファソ援助方針は,保健分野を含む基礎生活分野を重点分野としており,本案件と整合している。また,我が国は,保健分野において,母子保健人材育成等の課題別研修,保健師及び看護師等の青年海外協力隊による活動等を実施し,ハード・ソフト両面からの支援を通じた開発効果の最大化に取り組んでいる。
(1)施設の設計にあたっては,ブルキナファソが定める標準設計を基本とし,耐久性やコスト等の観点から必要最小限の変更を加え,適切な設計・仕様を決定した。また,導入機材については,スペアパーツの入手に問題がないものとした。
(2)CSPSの運営委員会の組織化及び研修については,既存のブルキナファソの教材等を使用することにより,コストの縮減を図った。
(1)対象地域におけるCSPSの診療圏半径の平均が9.16 キロメートル(2009年)から8.22 キロメートル(2015年)に10%短縮される。
(2)対象地域(10保健行政区)における住民一人当たりの年間受診数が0.58回(2010年)から0.64回(2015年)に10%増加する。
(3)一次医療施設へのアクセスが容易になる結果,対象地域における基礎医療サービスの改善に寄与する。
(1)ブルキナファソ政府からの要請書
(2)JICA事業化調査報告書