評価年月日 平成24年10月22日
評価責任者:国別開発協力第三課長 貴島善子
ベナン共和国
「第五次小学校建設計画」
本計画は,初等教育環境整備が特に遅れているアタコラ県及びドンガ県の小学校53校241教室の建設,教育機材の供与を行うものである。供与限度額は,12.27億円。
ベナンは,民主的国家制度を維持・推進している西アフリカの代表的な国。日・ベナン両国は,民主化,人権尊重及び持続可能な水産資源利用等の価値観を共有しており,国際場裡においても我が国の立場に理解を示す等,良好な関係を維持している。
(1)本案件は,小学校の教室等の整備を主たる内容としており,特段の環境社 会面の影響は想定されないところ,JICA環境社会配慮ガイドラインにおいてもカテゴリーC(環境社会への影響が最小限)に分類される。
(2)以下の事項がベナン政府により実施される必要がある。
(ア)本計画により建設される教室等の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。
(イ)学校運営に必要な人的手当及び予算措置を行うこと。
(1)ベナン政府は,2006年に「教育セクター10ヶ年計画(2006-2011)」を策定し,「2015年までに全ての児童が初等教育の全課程を修了出来るようにする」ことを目指し,初等教育の無償化を実現するとともに,2015年までに,1)初等教育の修了率100%,2)初等教育の留年率の10%及び3)教員対児童の比率を1対40にするという目標を掲げている。
(2)しかしながら,初等教育の無償化により急激に児童が増加したため,施設整備が追いつかず,1教室当たりの基準児童数50人に対し,本計画対象地域では,1教室あたり平均73人の児童が学習している状況である。そのため,2学年合同で授業を行う複式学級がある等,教室は過密状態であり,さらには雨漏りのする藁葺き屋根の仮設教室や,倒壊の危険がある老朽化した教室を使用せざるを得ない状況となっている。このような状況は,児童の学力低下のみならず,中途退学の原因にもなっており,急激な児童数の増加に対応した教育環境改善は,早急に改善が必要な課題となっている。
(3)このような状況に対し,ベナン政府は,施設整備が特に遅れているアタコラ県及びドンガ県における初等教育環境改善に必要な資金につき,我が国に対し無償資金協力による支援を要請したものである。本計画は,初等教育分野のミレニアム開発目標(MDGs)の達成に資することが期待され,本件実施の意義は大きい。
(1)平成19年度に実施した対ベナン・コミュニティ開発支援無償「第四次小学校建設計画」をふまえ,対象地域,施設規模及び機材供与の範囲を決定し,事業の効率的・効果的実施に努めた。
(2)ベナン政府及び他ドナーが実施した教室建設事業(面積,仕様,平米単価等)と本事業を比較した上で,適切な設計・仕様を決定するとともに,コスト削減に努めた。
(1)対象小学校12校における教室数が77から318(約4.1倍)に増加する。
(2)対象小学校において教室内の過密状況等が解消された適切な教育環境で学習できる児童が,約3,580名から約15,900名(約4.4倍)に増加する。
(3)教育環境の改善により,対象地域(アタコラ県及びドンガ県)の初等教育修了率の上昇及び中途退学率の改善に寄与することが期待される。
(1)ベナン政府からの要請書
(2)JICA事業化調査報告書(JICAを通じて入手可能)