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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日 平成24年4月20日
評価責任者:国別開発協力第二課長 德田修一

1.案件名

1-1.供与国名

 バングラデシュ人民共和国

1-2.案件名

 食糧備蓄能力強化計画

1-3.目的・事業内容

 本計画は,バングラデシュの穀倉地帯ラジシャヒ管区ボグラ県サンタハールに米の長期保存を目的とした立体倉庫型備蓄施設(最大25,740トン)を建設し,施設運営に必要なフォークリフト等の機材を調達するものである。施設運営,機材操作能力強化のための技術協力を併せ実施する。食糧備蓄施設の整備を行うとともに,品質を損なうことなく米を貯蔵し,効率的な配給実施を可能とする貯蔵体制を確立することを通じ,同国における食糧備蓄能力の向上,さらに,自然災害発生時等の緊急時における食糧安全保障への対応能力強化に貢献することを目的とするもの。
 供与限度額は21億5,600万円。

1-4.環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

 以下の事項がバングラデシュ政府により実施される必要がある。

(1)工事着工前に建設予定地の整地工事及び既存施設等の撤去を実施すること。

(2)施設完成後,適切な維持管理が行われること。

2.無償資金協力の必要性

2-1.必要性

 バングラデシュは食糧生産量を着実に伸ばしてきたが,現在も総人口の約40%,6,000万人が食糧への十分なアクセスを持たない貧困層である。同国政府は,貧困層を対象とした公的食糧配給制度を導入し,需給バランスに応じた流通量の調整や食糧価格の安定化,緊急時の備蓄穀物の配布を行っているが,同国の食糧生産は洪水や干ばつなどの大規模な自然災害の影響を受けやすく不安定である。また,既存の穀物貯蔵庫は,温度・湿度管理や害虫対策が不十分な簡易型の平型倉庫が多く,穀物の劣化・腐敗により備蓄量の約10%に損失が生じていることが課題となっている。
 世界的な穀物流通量の減少及び市場価格の上昇傾向が見られる中,同国における食糧備蓄能力の強化は,同国の貧困層対策及び食糧安全保障の観点からも極めて重要な開発課題である。特に,本事業の対象地域である北西部地域は,同国の穀倉地帯であり,穀物の供給基地となっているため,同地域で備蓄能力の増強を図ることは,1)効率的な食糧の調達・配給,2)災害時の緊急食糧配給,3)農閑期の食糧価格の安定化等を実現するために不可欠である。

2-2.効率性

(1)貯蔵形式については,複数の提案を検討し,バングラデシュで一般的な米の流通形態(パーボイルド加工米(収穫後茹でた後に乾燥させたもの)の小袋詰め)に鑑み,長期保存でも品質を保持し,また貯蔵容量が最大となるよう,空調設備を備えた立体倉庫とすることとした。

(2)事業費を必要最低限に抑えるため,必要性,効率性,安全性にかかる技術的考察に基づき,屋根の形状,壁の構造,車寄せの車道幅等の設計を見直した。

(3)維持管理費軽減のため,貯蔵室を区分けし貯蔵量に応じた空調設備の運転が可能になるようにした。

2-3.有効性

 本件の実施により以下のような成果が期待される。

(1)本件食糧備蓄倉庫が位置するラジシャヒ管区の米備蓄能力が現行の420,350トンから446,090トンへと25,740トン増強される。

(2)本件食糧備蓄倉庫の最大貯蔵容量は米25,740トンであり,これにより,貧困層71,500世帯の1年分(30キログラム/世帯・月)の食糧供給,自然災害時の被災民257.4万人分(10キログラム/人)に対する食糧配給が可能となる(在庫回転数1回の場合)。

(3)空調設備のある倉庫で食糧を貯蔵することにより保存能力の向上が図られ,備蓄食糧の損失が減少する。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)バングラデシュ政府からの要請書

(2)JICAの基本設計調査報告書(JICAを通じて入手可能)

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