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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日 平成25年2月5日
評価責任者:国別開発協力第二課アフガニスタン支援室長 原 圭一

1.案件名

(1)供与国名

 アフガニスタン・イスラム共和国

(2)案件名

 「第二次カブール国際空港駐機場改修計画」

(3)目的・事業内容

 ア カブール国際空港の駐機場の舗装新設(面積:32,200平方メートル)及び拡張(面積:14,700平方メートル)を実施するとともに,駐機場照明灯8基を設置することを通じ,航空機運航の安全性と効率性の向上を図る。供与限度額は13億6,100万円。

(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

 ア 円滑な事業実施のため,今後カブール市の治安状況が著しく悪化しないこと。

 イ 案件実施に際し,アフガニスタン側負担事項が実施され,案件完了後もアフガニスタン側で適切な維持管理がなされること。

2.無償資金協力の必要性

(1)必要性

 ア アフガニスタンにおいて,航空運輸は道路と並ぶ運輸・交通の重要な手段となっている。カブール国際空港は3,500メートルの滑走路1本を有するアフガニスタン最大の空港であり,国内外の交通・物流の拠点となっている。カブール国際空港の年間旅客者数は,2010年には約140万人に達し,2011年に我が国が実施した準備調査における予測では,2025年の旅客需要は約550万人に達するとされている。

 イ カブール国際空港の施設整備については,2001年以降,我が国の無償資金協力(国際線ターミナルビルの建設,滑走路南側の誘導路改修等)や世界銀行による支援(滑走路の改修)等多くのドナーにより支援が行われてきているが,駐機場については,長年に亘る不十分な維持管理や近年の交通量の増加により劣化が著しく,剥離した骨材等が航空灯火や航空機エンジンに損傷をもたらしている。また,駐機場が不足しているため,待機に伴う航空機発着の遅延や,一部の航空機を誘導路に駐機せざるを得ないことにより建物等との接触事故等が発生している等,航空機の安全で効率的な運航に支障を生じかねない状況にある。

 ウ アフガニスタン政府は,2008年にとりまとめた「アフガニスタン国家開発戦略計画(ANDS)」において,国家開発戦略の3本柱として「治安」,「ガバナンス」,「経済・社会開発」を掲げている。このうち,「経済・社会開発」を推進するための航空セクターの施策として,カブール国際空港とヘラート空港を国際民間航空機関(ICAO)の基準と勧告を満たす国際空港とすることを目指している。また,ANDSと同時に公表された運輸民間航空省作成の「運輸民間航空省戦略」においても,カブール国際空港とヘラート空港の整備が最上位に位置付けられている。

 エ このため,カブール国際空港駐機場の舗装改修及び拡張,駐機場照明灯の設置を行い,カブール国際空港の安全で効率的な運航を確保することにより,アフガニスタンの「経済・社会開発」を推進することを目的として,アフガニスタン政府から我が国に対し無償資金協力の要請がなされた。

(2)効率性

 JICAの協力準備調査及びアフガニスタン側との協議を通じ,実施中の他の無償資金協力事業の進捗状況も踏まえつつ,必要性及び緊急性の高い内容に限定するとともに,アフガニスタン側の運営・維持管理体制等に適した供与内容とした。

(3)有効性

 本計画の実施により,以下のような効果が期待される。

 ア 駐機場の舗装改修により,劣化した舗装から剥離した骨材等による航空灯火及び航空機エンジン等への損傷の危険が大きく低下するとともに,駐機場の拡張により,駐機できる航空機が26機から43機に増加し,また,誘導路への駐機が解消されるため,航空機の年間離発着回数も16,650回から37,000回に増加することから,航空機運航上の安全性及び効率性が向上する。

 イ 駐機場照明灯の設置により,夜間の乗降及び作業の安全性が向上する。

 ウ カブール国際空港の利用者年間約140万人の安全な渡航が可能となるとともに,航空機運航の効率性・安全性が向上することにより,カブール国際空港の発着便数の増加,さらには交通・物流の一層の活発化が期待される。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)JICAの概略設計概要書

(2)開発協力適正会議(平成23年度対アフガニスタン一般プロジェクト無償資金協力「カブール国際空港駐機場改修計画」)

(3)JICAの概略設計調査報告書

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