評価年月日 平成24年11月30日
評価責任者:アフガニスタン支援室長 原 圭一
アフガニスタン・イスラム共和国
「国家広域開発計画(国連開発計画(UNDP)連携)」
本計画は,32県159郡において,研修の実施等による郡開発評議会の機能強化と道路・橋・用水路・治水施設等の地方インフラ整備を行うことを通じ,アフガニスタンにおける地方の貧困削減と生計向上を図るもの。供与額は15.96億円。
(1)郡開発評議会の機能強化:開発事業の管理に関する研修の実施,郡開発計画の策定支援,郡開発評議会の情報収集能力の強化(287件)
(2)地方インフラの整備:道路・橋・用水路・治水施設等の整備(135件),小規模水力発電施設の整備(30件),バイオガス施設の整備(8件)
以下の事項が,アフガニスタン政府,郡開発評議会等アフガニスタン側により実施される必要がある。
(1)本案件により建設されるインフラ施設の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。
(2)案件の実施に際し,郡レベルの開発を担う郡開発評議会と地方開発の主管官庁である農村復興開発省が連携を深めること。
(1)アフガニスタンの人口の約8割は農村地域で農業に従事しているが,長期の内戦によってインフラが疲弊し,農村地域のコミュニティが崩壊した結果,地方に住む人口の38%が貧困ライン以下の生活を余儀なくされている。
(2)このような状況に対し,アフガニスタン政府は,2002年以降,国際連合開発計画(UNDP)による国家広域開発計画(National Area-Based Development Program)を通じて,地方の貧困削減と生計向上を目的として,郡レベルにおける開発事業を推進している。国家広域開発計画は,開発事業の実施主体として設置される郡開発評議会が自主的に開発計画を策定・実施し,地方の貧困削減と生計向上を目指すとともに,開発事業の実施を通じて郡のガバナンスを強化することにより,住民の連帯を強め,地方の発展と安定に貢献している。
(3)アフガニスタン政府は,貧困削減戦略文書に相当する「国家開発戦略」に基づき,22の国家優先プログラムを策定することとし,そのうち「地方機能強化」に関する国家優先プログラムにおける活動の中に国家広域開発計画を位置づけている。これまで国家広域開発計画の対象となった地域では,実施事業によって生活環境等の改善は一定程度図られているものの,地方における開発ニーズは多く,また,住民間の協力関係の一層の醸成や基礎インフラの整備等という課題は残存している。郡開発評議会の機能強化を図りつつ,地方インフラを整備することを通じて地方の貧困削減と生計向上を図る本案件は,これらの課題に対応し,アフガニスタン政府による国家優先プログラムの推進に資するものである。
(4)我が国の対アフガニスタン援助方針では,農業・農村開発分野を重点分野の一つとしており,本案件は同方針に整合している。また,我が国は,2012年7月にアフガニスタン政府と共催したアフガニスタンに関する東京会合において,2012年より概ね5年間でアフガニスタンの開発分野及び治安維持能力の向上に対し,最大約30億ドル規模の支援を行うことを表明しており,本案件は同支援表明の達成に資するものである。
(1)インフラ整備において,施設の設計と費用積算はアフガニスタン側の基準に基づいて行われるため,現地事情に即した活動と支援になっている。
(2)インフラ整備事業は,郡の開発状況を把握している郡開発評議会の主導で行われるため,現地の状況に適した支援になっている。
(3)インフラ整備事業は,工事の規模に応じて住民が工事に参加する形で行われるため,工事の人員調達及び配置に要する工程を短縮することができる。
(1)本案件の対象となる159郡において,住民代表からなる郡開発評議会が主導して開発計画を策定し,具体的事業を実施する体制が整備される。
(2)道路,用水路,治水施設等,173件の基礎的インフラの整備事業が実施され,対象地域住民約20万人の生活環境が改善される。
(3)農村地域の開発が促進され,農業生産性が向上することにより,一人当たりGDPと食料生産量の向上に貢献する。
(1)アフガニスタン政府からの要請書
(2)国家広域開発計画のレポート