評価年月日 平成23年4月13日
評価責任者:国別開発協力第三課長 石塚英樹
ザンビア共和国
ルサカ南部地域居住環境改善計画
本計画は,ザンビア国の首都であるルサカ市内の環状道路,及びルサカ南部複合経済特区への連携道路の敷設により,周辺の貧困住民の居住環境を整備し,経済・産業開発を促進する。また,排水路等の付属施設の設置により,周辺の衛生状態も改善するもので,供与限度額は27億7,600万円である。
以下の事項がザンビア政府により実施される必要がある。
(1)本計画開始前に,計画実施の対象地域における土地収用及び住民移転を含む環境社会配慮への適切な対応。
(2)対象道路建設後の日常維持管理に必要な予算手当て。(1)ザンビア政府は,2006年に第5次国家5カ年計画を策定し,貧困削減,経済発展のための資源の効率的活用を目標とし,社会施設の保全,新規施設の整備を優先事業としている。
(2)上記5カ年計画をふまえ,我が国の協力により実施した開発調査「ルサカ市総合都市開発計画調査」(2007~2009年)において,ルサカ首都圏の,経済成長による都市の拡大に伴う無秩序な開発を抑制するため,バイパスや幹線道路を中心とした交通網の整備を重要課題とした。また,同調査は,道路網の整備を通じた計画的な居住区の創出により,都市貧困住民の生活環境を改善し,産業基盤施設を早急に整備し,外国投資の誘致と,連携する国内中小企業育成も提言している。
(3)ルサカ市内の道路はザンビア政府及び我が国等の努力により大きく改善されてきたが,その舗装率は65%程度にとどまっており,未舗装道路は地域の開発を阻害する大きな要因となっている。本計画実施予定地の周辺には低所得者居住地域が拡大しているが,排水施設が未整備のため,雨季はコレラ発生など衛生状況も劣悪になる。また,通行が困難となり,病院・学校等の基礎的な社会福祉施設の利用にも著しい支障が生じ,ひいては経済活動の重大な制約要因ともなっている。
(4)このため,ザンビア政府は,ルサカ市内の貧困削減を図るため同市内における道路網及び排水路等の整備を計画し,その実施に必要な資金につき,我が国の無償資金協力を要請したものである。
(1)「第1~3次ルサカ市道路網整備計画」等これまでの同国における類似案件の教訓を活かした事業計画を行う。
(2)設計に当たっては,必要な機能及び耐久性等を確保できる範囲で,適切に設計条件を設定する等コスト縮減に努めた。
本件の実施により,以下のような成果が期待される。
(1)本件道路網の整備によりルサカ南部複合的経済特区の開発が可能になり,地域経済の活性化の促進が期待される。
(2)首都ルサカ市において,道路排水の整備により雨季に通行不可能な道路が通行可能となり,公共交通のバス等の走行の円滑化,交通コストの軽減,公共施設等への交通が改善され,市民の生活水準が向上し,また衛生状態が改善する。
(1)ザンビア政府からの要請書
(2)JICAの概略設計調査報告書