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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日:平成24年3月7日
評価責任者:国別開発協力第一課長 横山正

1 案件概要

(1)供与国名
 ベトナム社会主義共和国

(2)案件名
 第二期南部ビンズオン省水環境改善計画

(3)目的・事業内容

 ベトナム南部のビンズオン省において,下水道システム(管渠・中継ポンプ場,下水処理場(17,000立方メートル/日)等)の整備・拡張を行うもの。

ア 主要事業内容

  • 下水処理場整備等
  • コンサルティングサービス

イ 供与条件

供与限度額 金利 償還(うち据置)期間 調達条件
199.61億円 年0.65% 40(10)年 一般アンタイド
 (注)コンサルタント部分は金利0.01%を適用。

(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

ア 環境影響評価(EIA)報告書は,2011年12月にビンズオン省天然資源環境局により承認済み。

イ 約3.5ヘクタールの用地取得,2世帯の住民移転を伴い,ベトナム国内法に沿って用地取得,補償に係る手続が進められる予定。

ウ 下水処理場からの放流水は,同国の排水基準を満たすよう処理される。

2 資金協力案件の評価

(1)必要性

ア 開発ニーズ
 本計画の対象となるビンズオン省南部地域は,ホーチミン市の北東部に位置し,外国直接投資の積極的な誘致先である大規模な工業団地が集積する地域でもある。工場労働者を含む人口の増加に伴い,同地域の生活排水量は増大しているものの,汚水はセプティックタンク(腐敗槽)での簡易処理に留まっており,一部で存在する既存の排水管や運河・水路を通じてサイゴン河に放流されている。従って,同河の多くの地点では上水利用を目的とした取水源の水域に適用される国家地表水水質基準を満たしていない。
 本計画は,平成18年度円借款案件「南部ビンズオン省水環境改善計画」(以下,「第一期計画」という)(2014年完成予定)の後続案件に位置付けられ,第一期計画の対象となっている同省ツーザオモット地区の下水収集網の拡張(第一期:752ヘクタール,第二期:1,911ヘクタール),及び隣接するトゥアンアン地区(3,163ヘクタール)の新規下水道システムの整備を行うものである。本計画は,第一期計画と同様,分流式下水道システムを採用しており,対象地域の各世帯の汚水を着実に取り込むことにより,同地域からサイゴン河へ放流される汚濁負荷の軽減を図るものであり,本計画のニーズは大きい。

イ 我が国の基本政策との関係
 2009年7月に改訂した国別援助計画は,1)経済成長促進・国際競争力強化(ビジネス環境整備・民間セクター開発,資源・エネルギー安定供給,都市開発・運輸交通・通信ネットワーク整備),2)社会・生活面の向上と格差是正(基礎社会サービス向上,地方開発・生計向上),3)環境保全(都市環境管理,自然環境保全),4)ガバナンス強化(行財政改革,法整備・司法改革)を重点分野としている。本計画は上記3)に資するものであり,我が国の基本政策とも合致する。

(2)効率性
 本計画は,対象区域として,先行案件である第一期計画によって下水収集網が整備される予定であったものの,急激な物価上昇等の影響で整備範囲を縮小せざるを得なかった区域を含んでおり,先行案件の下水処理場の整備状況に合わせた下水収集網の整備を行うことにより,両案件の効率性を確保する。

(3)有効性
 本計画によって下水道システムの整備・拡張を行うことにより,対象区域の下水道接続率の増加(ツーザオモット地区:0%→90%(2020年:完成2年後),トゥアンアン地区:0%→26%(2020年:完成2年後))が見込まれ,サイゴン河流域の水質悪化抑制を図ることで,ホーチミン市及びその周辺地域の生活環境の改善,上水道水源の保全に寄与する。

3 事前評価に用いた資料,有識者等の知見の活用

 要請書,国際協力機構環境社会配慮ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/index.html他のサイトへ),その他国際協力機構より提出された資料。
 案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index/anken/zyoukyou.html),借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/index.html他のサイトへ)及び事業事前評価表(http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html他のサイトへ)を参照。
 なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。

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