評価年月日:平成24年3月7日
評価責任者:国別開発協力第一課長 横山正
(1)供与国名
ベトナム社会主義共和国
(2)案件名
国道3号線道路ネットワーク整備計画(第二期)
(3)目的・事業内容
ハノイから北部に向かう国道3号線のバイパス道路(高規格道路,延長約61キロメートル)の新設及び周辺道路の整備を行うもの。
ア 主要事業内容
イ 供与条件
供与限度額 | 金利 | 償還(うち据置)期間 | 調達条件 |
---|---|---|---|
164.86億円 | 年1.4% | 30(10)年 | 一般アンタイド |
(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点
ア 環境影響評価(EIA)報告書は,2004年9月にベトナム天然資源環境省により承認済み。
イ 約520ヘクタールの用地取得,695世帯の住民移転を伴い,ベトナム国内法及び住民移転計画に則って用地取得,補償に係る手続が進められている。2011年10月時点で569世帯の移転が完了しており,残る126世帯の移転は2012年3月までに完了予定。
ウ 供用時の大気質,騒音等の影響については防音壁の設置,植栽等対策を講ずることで同国国内基準を満たす予定。
(1)必要性
ア 開発ニーズ
ハノイ市周辺の紅河デルタ地域は,急速な経済発展を続けており,また,ハノイ~タイグエン間を通る国道3号線は,ハノイ市北部に位置するノイバイ国際空港やハイフォン港,カイラン港など国際的な物流の拠点とハノイ市,タイグエン市とをつなぐ主要な道路である。さらに,周辺にはソクソン工業団地や日系企業の工場が建設されている他,8,000ヘクタールのイエンビン・コンプレックスなども計画されており,今後も急速な交通量の増加が見込まれている。
ベトナム政府は,高成長下での持続的発展という開発目標の達成に向け,運輸交通インフラの整備を含むインフラシステムの更なる発展を開発上の最重要課題と位置づけている。ベトナム北部の運輸セクター開発計画「北部経済優先地域における運輸開発に関する2020年までの計画及び2030年までの方向性」(2011年1月,首相決定5号)において,本件の対象区間(ハノイ~タイグエン間)は優先区間として取り上げられている。
イ 我が国の基本政策との関係
2009年7月に改訂した国別援助計画は,1)経済成長促進・国際競争力強化(ビジネス環境整備・民間セクター開発,資源・エネルギー安定供給,都市開発・運輸交通・通信ネットワーク整備),2)社会・生活面の向上と格差是正(基礎社会サービス向上,地方開発・生計向上),3)環境保全(都市環境管理,自然環境保全),4)ガバナンス強化(行財政改革,法整備・司法改革)を重点分野としている。本計画は上記1)に資するものであり,我が国の基本政策とも合致する。
(2)効率性
本計画によって,ITS(高度道路交通システム)が整備される予定であり,同様の設備が導入される予定のハノイ市環状道路3号線及び南北高速道路の一部区間と維持管理体制を一元化することにより,案件の効率性を確保する。
(3)有効性
本計画によって,ベトナム北部において国道3号線のバイパス(高規格道路)及び周辺道路を整備することにより,ハノイ~タイグェン間における所要時間の短縮(約87分→約64分(2016年:完成2年後))が図られ,道路利用者の利便性向上と交通安全の確保に寄与し,同地域の経済・社会開発の促進,及び同国の経済成長促進及び国際競争力強化が期待される。
要請書,国際協力機構環境社会配慮ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/index.html),その他国際協力機構より提出された資料。
案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index/anken/zyoukyou.html),借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/index.html)及び事業事前評価表(http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html
)を参照。
なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。