評価年月日:平成24年3月7日
評価責任者:国別開発協力第一課長 横山正
(1)供与国名
ベトナム社会主義共和国
(2)案件名
ホアラック科学技術都市振興計画(第一期)
(3)目的・事業内容
ハノイ西部近郊のホアラック地区において,研究開発機能,教育訓練機能等からなる科学・産業技術集積拠点の基礎インフラを整備することにより,研究・教育機関の入居拡大,民間投資拡大を図るもの。
ア 主要事業内容
イ 供与条件
供与限度額 | 金利 | 償還(うち据置)期間 | 調達条件 |
---|---|---|---|
152.18億円 | 年1.4% | 30(10)年 | 一般アンタイド |
(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点
ア 環境影響評価(EIA)報告書は,2010年1月にベトナム天然資源環境省により承認済み。
イ 約476ヘクタールの用地取得,591世帯の住民移転を伴い,ベトナム国内法に沿った用地取得及び住民移転計画に沿った住民移転が進められる予定。
ウ 外部要因リスクは特になし。
(1)必要性
ア 開発ニーズ
ベトナム政府は,「社会経済開発10か年戦略(2011~2020)」(2011年1月)において,2020年までに近代的な工業国となるための目標として,2020年のGDPの45%をハイテク製品が占めること等の指標を掲げており,同戦略に基づき策定中の社会経済開発5か年計画(2011~2015)においても,高度な科学技術の蓄積を開発目標の一つとして掲げている。
本計画で支援するホアラック・ハイテクパーク内には,ハイテク工業団地だけでなく,ハノイ科学技術大学,FPT大学,ベトナム科学技術アカデミー等の研究開発・教育訓練施設の建設が計画・着工されており,国を代表する科学技術の一大拠点都市として,産学官連携の実現が期待されている。地区内の基礎インフラ(道路,上下水道管,通信設備,電力等)の整備は,研究教育機関と民間企業の誘致を促進するものであり,本計画のニーズは大きい。
イ 我が国の基本政策との関係
2009年7月に改訂した国別援助計画は,1)経済成長促進・国際競争力強化(ビジネス環境整備・民間セクター開発,資源・エネルギー安定供給,都市開発・運輸交通・通信ネットワーク整備),2)社会・生活面の向上と格差是正(基礎社会サービス向上,地方開発・生計向上),3)環境保全(都市環境管理,自然環境保全),4)ガバナンス強化(行財政改革,法整備・司法改革)を重点分野としている。本計画は上記1)に資するものであり,我が国の基本政策とも合致する。
(2)効率性
本計画区域内に,平成23年10月に交換公文(E/N)が署名された円借款案件「衛星情報の活用による災害・気候変動対策計画(第一期)」の中核となる宇宙センターが建設予定であり,これら建設予定施設の計画に合わせた進捗管理を行うことにより,案件の効率性を確保する。
(3)有効性
本計画の実施により,研究・教育機関の入居拡大(施設数3→9(2018年:完成2年後)),入居企業数の拡大(企業数36→150(2018年:完成2年後))が図られ,同国初となる科学技術拠点都市の形成に寄与し,同国の経済成長促進・国際競争力強化が期待される。
要請書,国際協力機構環境社会配慮ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/index.html),その他国際協力機構より提出された資料。
案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index/anken/zyoukyou.html),借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/index.html)及び事業事前評価表(http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html)を参照。
なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。