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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日:平成24年2月1日
評価責任者:国別開発協力第一課長 横山正

1 案件概要

(1)供与国名
 フィリピン共和国

(2)案件名
 中部ルソン接続高速道路計画

(3)目的・事業内容

 中部ルソンにおけるタルラックとカバナツアンを連結する高速道路(約31キロメートル)の建設を行うことにより,中部ルソンとスービック~クラーク~マニラ~バタンガス物流回廊の間の物流改善を図り,もって中部ルソンの経済開発に寄与するもの。

ア 主要事業内容

  • 土木工事:高速道路及びインターチェンジの建設
  • コンサルティング・サービス

イ 供与条件

供与限度額 金利 償還(うち据置)期間 調達条件
227.96億円 年1.4% 30(10)年 一般アンタイド
 (注)コンサルティング部分については金利0.01%を適用。

(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

ア EIA(環境影響評価):本計画に係る環境適合証明は,環境天然資源省より2011年11月に発行済み。

イ 用地取得及び住民移転:本計画は用地取得及び204人の住民移転を伴い,国内手続きに沿って実施される。用地取得,住民移転の実施状況及び生計回復状況については,実施機関(公共事業道路省)によるモニタリングとともに,第三者機関による外部モニタリングが実施される予定。

ウ 外部要因リスク:特になし

2 資金協力案件の評価

(1)必要性

ア 開発ニーズ
 マニラ首都圏では工業用地の新規開拓余地がほとんどなく,また交通渋滞も深刻であるため,マニラ首都圏の南北に工業団地の立地が拡大している。マニラ中心から北方100キロメートル 圏内に位置する中部ルソンは,産業の集積による発展が見込まれている地域であるが,高速道路の建設等によるスービック~クラーク~マニラ~バタンガス(SCMB) 回廊の北方延伸を通じた,アクセスの改善が課題となっている。「フィリピン開発計画(2011~2016 年)」では,マニラ首都圏周辺において,戦略的物流回廊を整備することによって,経済の中心地と近郊都市間の物流を改善し,当国の生産性及び国際競争力を強化する,との方針が打ち出されている。同計画には,戦略的物流回廊としてまずSCMB 回廊を整備し,これを更に南北に延伸するとの計画が示されている。

イ 我が国の基本政策との関係
 対フィリピン国別援助計画では,1)雇用機会の創出に向けた持続的経済成長(ビジネス・投資環境の整備,経済成長基盤の整備),2)貧困層の自立支援と生活環境改善,3)ミンダナオにおける平和と安定を重点分野としている。本件は,主要な経済成長基盤である運輸・交通網の整備によってマニラ首都圏の経済成長を図るものであり,1)に合致するもの。

(2)効率性
 民間企業へのリースによって運営・維持管理を行うことにより,事業の効率化を図る。

(3)有効性
 本計画の実施により完成2年後の2018年には,カバナツアン~バリンタワック間の平均所要時間が,186分(日比友好道路経由)・134分(中部ルソン高速道路経由)から113分(中部ルソン接続高速道路及び中部ルソン高速道路経由)に短縮され,かつ約13,000台/日の年平均日交通量,11億ペソ(年)の時間短縮費用が見込まれるなど,中部ルソンとマニラ首都圏の間の輸送効率の向上が図られることにより,当該地域の経済開発が期待される。

3 事前評価に用いた資料,有識者等の知見の活用

 要請書,国際協力機構環境社会配慮ガイドライン
http://www.jica.go.jp/environment/guideline/archives/jbic/index.html他のサイトへ
 その他国際協力機構より提出された資料。
 案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要,借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース及び事業事前評価表を参照。なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。

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