評価年月日 平成23年7月8日
評価責任者 国別開発協力第三課長 石塚 英樹
(1)供与国名
モロッコ王国
(2)案件名
フェズ・メクネス地域上水道整備計画
(3)目的・事業内容
モロッコ中北部の地方都市フェズ及びメクネスとその周辺村落部において,同地域へ給水するための上水道施設を整備することにより,同地域における上水の供給能力向上を図るもの。
(ア)主要事業内容
(イ)供与条件
供与限度額 | 金利 | 償還(うち据置)期間 | 調達条件 |
---|---|---|---|
174.40億円 | 1.4% | 25(7)年 | 一般アンタイド |
(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点
(ア)EIA(環境影響評価):環境に影響を及ぼしやすいセクター・特性及び影響を受けやすい地域に該当せず,環境への望ましくない影響は重大でないと判断される。EIA報告書は,モロッコ国内法上作成が義務付けられていないものの,事業実施機関が作成済み。
(イ)土地収用及び住民移転:用地取得は約128 ヘクタール。モロッコ国内手続きに沿って取得が進められる。住民移転は発生しない。
(ウ)外部要因リスク:特になし。
(1)必要性
(ア)開発ニーズ
モロッコは,降水量が少ない上,その8割以上が蒸発等で失われるため,水資源の確保・管理が同国における開発上の重要課題となっている。モロッコの上水道セクターでは,この課題に対処すべく整備を進め,着実な改善を見せているものの,人口増加や各戸給水の普及などに起因する水需要の増加に対応し,安定的な供給を実現するために,さらなる上水道施設整備への取り組みが必要となっている。
(イ)我が国の基本政策との関係
我が国は,モロッコに対し,1)地域的・社会的格差是正,2)経済競争力の強化・持続的な経済成長,3)三角協力 を重点分野に据えて経済協力を行っている。本件計画は,上水道の普及と水供給安定化に向けたモロッコの更なる努力を支援するものであり,上述2)の重点分野における開発課題「水資源確保とその有効利用」に合致する支援である。また,本計画は,給水人口230万人を見込んでおり,TICAD IV横浜行動計画における「650万人に対する安全な水供給」目標のうち約35%にあたるなど,我が国の開発援助目標にも合致するものである。
(2)効率性
浄水処理方法については,原水の水質,維持管理能力,価格を総合的に比較検討し,急速濾過方式を採用した。また,監視・制御システムを導入することにより,水質モニタリング,流量コントロールを自動化し,案件の効率性を増している。
(3)有効性
本計画を実施することで,給水量の増加が期待され(給水量 約37.8万立方メートル/日(2010年)→約53.2万立方メートル/日(2016年:完成2年後)),人口増加が見込まれる都市部での上水道整備の継続や地方村落部の給水アクセス向上により,住民の生活改善に貢献することが期待される(給水対象人口 都市部:約173.6万人(2010年)→約191.0万人(2016年:完成2年後),村落部:約37.8万人(2010年)→約39.7万人(2016年:完成2年後))。更に,モロッコの経済・社会発展を通じた我が国との二国間関係の強化が期待される。
要請書,これまでの国際協力銀行環境社会配慮ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/archives/jbic/index.html ),その他国際協力機構より提出された資料。
案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要 (http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/data/zyoukyou.html),借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース
(http://www.jica.go.jp/press/index.html )及び事業事前評価表
(http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html
)を参照。
なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。