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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日 平成23年3月7日

評価責任者:国別開発協力第二課長 小野日子

1.案件概要

(1)供与国名
 インド

(2)案件名
 中小零細企業・省エネ支援計画(フェーズ2)

(3)目的・事業内容

 インド小企業開発銀行(SIDBI)を通じて,インドの中小零細企業に対し,省エネルギーの取り組みに必要な中長期資金を供給するもの。

(ア)主要事業内容

 資金供与(SIDBIからの転貸等を通じたツー(スリー)ステップローンの実施)

(イ)供与条件

供与限度額 金利 償還(うち据置)期間 調達条件
300.00億円 0.40% 15(5)年 一般アンタイド
 (注)金利は,優先条件(オプション3)「地球環境・公害対策(省エネ,省資源)」及び「中小企業」を適用。

(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

(ア)EIA(環境影響評価)
 融資承諾前にサブプロジェクトが特定できないが,環境や社会への重大で望ましくない影響のある可能性を持つようなサブプロジェクトは想定されていない。

(イ)用地取得
 本計画において,用地取得及び住民移転を伴うサブ・プロジェクトは対象外である。

(ウ)外部要因リスク:特になし。

2.資金協力案件の評価

(1)必要性

(ア)開発ニーズ
 インドは,米・中・露・日に次ぐ世界第5位のエネルギー消費国であり,今後もエネルギー需要は増加を続けると見込まれており,エネルギーの効率的な利用(省エネルギー)を進めることが急務となっている。とりわけ,中小零細企業はインド全体の製作所数の約9割を占め,そのエネルギー消費は全製作所の3~4割と試算されているが,設備の老朽化等により,大企業と比較して低いエネルギー消費効率となっており,このような現況から本計画のニーズは大きい。

(イ)我が国の基本政策との関係
 2006年6月に策定された「国別援助計画」においては,今後の対インドODAの重点目標として,(a)経済成長の促進(「経済成長を通じた貧困削減」を追求するためのインフラの整備等),(b)貧困・環境問題の改善及び(c)人材育成・交流拡大(強固な二国間関係の構築を念頭)を掲げている。本計画は,エネルギーの効率的利用(省エネ)の促進という観点から,同国の環境問題の改善に資する案件として上記(b)に資するものであり,我が国の基本政策とも合致する。

(2)効率性
 他ドナーとの連携を通じて,サブプロジェクトの重複を避けるのみならず,相互補完を強化することにより,効率的な支援を実施する。また,実施機関の融資審査能力等の強化のために技術支援を実施し,効率的な運営及び維持管理を図ることとしている。

(3)有効性
 本計画の実施により,インド中小零細企業による省エネルギーへの取り組み推進を図り,もってインドの環境改善,持続的な経済発展及び気候変動の緩和に寄与することが期待される(完成2年後(2016年)見込み:サブローンの承諾・貸付総件数3,000件,全額貸付完了。エネルギー消費削減量指標等については,事業開始時に設定。)。また,インドの経済・社会の発展を通じた我が国との二国間関係の強化が期待される。

3.事前評価に用いた資料、有識者等の知見の活用

 要請書,これまでの国際協力銀行環境社会配慮ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/archives/jbic/index.html 他のサイトヘ),その他国際協力機構より提出された資料。
 案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/data/zyoukyou.html),借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース (http://www.jica.go.jp/press/index.html 他のサイトヘ)及び事業事前評価表 (http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html 他のサイトヘ)を参照。
 なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。

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