評価年月日 平成23年3月7日
評価責任者:国別開発協力第二課長 小野日子
(1)供与国名
インド
(2)案件名
バンガロール・メトロ建設計画(第二期)
(3)目的・事業内容
インド南部カルナタカ州の州都バンガロールにおいて,地下鉄及び高架鉄道等による大量高速輸送システムを建設するもの。
(ア)主要事業内容
1)土木工事(地下区間)
2)電気・通信関連工事
3)コンサルティング・サービス
(イ)供与条件
供与限度額 | 金利 | 償還(うち据置)期間 | 調達条件 |
---|---|---|---|
198.32億円 | 1.40% | 30(10)年 | 一般アンタイド |
(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点
(ア)EIA(環境影響評価)
2003年3月に作成済み。
(イ)用地取得
円借款対象外である延伸部分も含めて,約127ヘクタールの用地取得及び1,062戸の住居・構造物の移転を伴うが,円借款対象区間においては,既に用地取得及び住民移転は完了。
(ウ)外部要因リスク:特になし。
(1)必要性
(ア)開発ニーズ
インド南部のカルナタカ州バンガロール都市圏は,インド第5位の人口を有し,自動車登録台数の伸びも著しく(5年間で100万台増加),市内では交通渋滞が深刻化している(市内主要道路における平均時速は約13キロメートル毎時)。その一方で,用地不足から道路網の拡充が難しく,既存の公共交通であるバスの輸送能力の向上が困難である。以上の現況から,大容量の公共交通システムとして地下鉄の早急な整備が強く求められており,本計画のニーズは大きい。
(イ)我が国の基本政策との関係
2006年6月に策定された「国別援助計画」においては,今後の対インドODAの重点目標として,(a)経済成長の促進(「経済成長を通じた貧困削減」を追求するためのインフラの整備等),(b)貧困・環境問題の改善及び(c)人材育成・交流拡大(強固な二国間関係の構築を念頭)を掲げている。本計画は,都市交通システムの整備という観点から,同国のインフラ整備に資する案件として上記(a)に資するものであり,我が国の基本政策とも合致する。また,交通渋滞緩和を通じた都市環境の改善にも資しており,上記(b)に合致する側面も有している。
(2)効率性
効率的な実施及び運営維持管理のためには,財務的に自立した事業実施体制の確立が重要との認識の下,特別目的会社(SPV)を設立して事業実施に当たっており,完成後は同社が運営維持管理に当たることとしている。
(3)有効性
本計画の実施により,バンガロール都市圏の増加する輸送需要への対応を図り,もって交通混雑の緩和と交通公害減少を通じた地域経済の発展及び都市環境の改善に寄与することが期待される(完成2年後(2015年)見込み:運行数(東西線及び南北線)390本/日・片道,乗客輸送量1,012万人・キロメートル/日)。また,インドの経済・社会の発展を通じた我が国との二国間関係の強化が期待される。
要請書,これまでの国際協力銀行環境社会配慮ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/archives/jbic/index.html ),その他国際協力機構より提出された資料。
案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/data/zyoukyou.html),借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース
(http://www.jica.go.jp/press/index.html )及び事業事前評価表
(http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html
)を参照。
なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。